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2007年01月09日

ドクターからの『毎月健康ニュース』2004年11月号

ヘルシーリビング


ドクタージャンスンから毎月届くニュースレター。
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ドクタージャンスンは、サプリメントだけでなく、食生活、運動、ストレス緩和の最新の情報から、みなさんがヘルシーなライフスタイルをご自分で築いていくことを、願っています。

2004年11月号偏頭痛の新しい研究

目次
・前向きに生きること
・片頭痛
・片頭痛の新しい研究
・カフェイン中毒
・Dr. Jに聞く: オメガ3系脂肪酸の用量
・最近のニュースから
・食事と病気
・ジャガイモと豆とトマトのキャセロール
・参考文献

読者の皆さま:前向きに生きること

最近の記事によると、ガンを克服した人たちは、病気そのものの経験やその治療から、生活の質が低い状態が続くことが多いそうです。しかし、必ずしもそのままでいなければならないことはないのです。病気や治療に関係なく(また、毒性の少ない代替治療の方が役立つことが多いのです)ライフスタイルを選ぶことにより、健康的で生き生きとした、実りのある生活を送ることができるのです。ポジティブな考え方、自信に満ちた態度、定期的な運動、そして必要に応じた栄養とサプリメントのすべてがいっしょになって、永続する楽しい日常生活をつくり出すのです。
ランス・アームストロングの生き方は、大変過酷な闘病生活を乗り切って回復し、豊かで順調な生活を取り戻すことができる方法の見本となっています。健康的なライフスタイルの恩恵を得るためには、ツール・ド・フランスに参加する必要はないのですが、(そこまでしなくてもよいのですが)自分で生活と健康を管理しなければなりません。
最近の調査によると、ガンを克服した人たちは、ガンを患ったことのない同年齢の人たちよりも生活の質が低いということです。この調査では、健康状態がまあまあか良くないと回答した人の割合が、ガンを克服した人たちでは31%であったのに比べ、、ガンを患ったことのない同年齢の人たちは18%だけでした。健康状態が優れていると回答したガンを克服した人たちの割合は13%にすぎませんでした。ただし、この調査者は、ライフスタイルと気の持ち方がこうした結果にどのように関連しているかについては調査しませんでした。
上記のように健康的な選択(ライフスタイルを選ぶこと)をすれば、良い結果をもたらすことは明らかです。これは、ガンを患ったことの肉体的・感情的なストレスや、手術、放射線照射、化学療法による治療の副作用を口先だけで紛らすためのものではありません。私が診ている患者の中で、数名のとても健康なガン患者は、ガンであるという診断に対して精神的苦痛に屈しないことを決めた人たちなのです。ノーマン・カズンズ氏は、書著「Anatomy of an Illness」、「The Healing Heart」、「Head First」の中で、身体が衰弱し命を脅かす膠原病およびのちにわずらった心臓病からの彼自身の治癒経験、および彼がカリフォルニア大学ロサンゼルス校の医学部の教員であったときにグループセッションで診察した多数のガン患者の治癒経験について書いています。
カズンズ氏は、笑うことやポジティブな感情による力だけでなく、栄養やサプリメントの有用性についても強調しています(彼は、最初の大病のときに膨大な量のビタミンCを経口および点滴で摂取して、予想を超える、少なくとも医学界では予想されていなかったほどの回復を果たしました)。グループセッションを行っていたときに、彼が接した経験のある患者のうち、順調に回復したガン患者というのは、診断結果を受け止めていた(否定していなかった)ものの、病気の経過の見通しについてネガティブに考えなかった人々であることがわかりました。こうした人々は精神と栄養の両面で強力な防御壁を築き、予想よりも長生きし、優れた質の生活を送っていたのです。
ポジティブな考え方、自信に満ちた態度、そして健康を高めるためのポジティブな行動による力というものは計ることができないかもしれませんが、健康を管理することを選んだ人には、こうした力をはっきりと見ることができるのです。

片頭痛

片頭痛は、血管けいれんとそれに続く血管拡張に関係し、身体を衰弱させるような頭痛と考えられています。片頭痛には、多くの場合、頭痛の前にかすみ目や複視、閃光、まぶしさ、限局性失明という警告的な初期症状(前駆症または前兆)を伴い、吐き気や嘔吐、神経過敏、気分変動、光過敏症が現れます。視覚的な前兆があるだけで本当の頭痛はない人もおり、これは「視覚片頭痛」と呼ばれます。通常型片頭痛は(「古典型」片頭痛に対して)、前駆症状が出ることなく起こるものです。
これらは、単なる頭痛ではなく、何時間も、または何日も続くこともあり、脳の周囲にある細胞組織が局部的に炎症を起こすと痛みがさらにひどくなる場合もあります。片頭痛は、ホルモンの変動、天候、明るい光や閃光や蛍光灯、チョコレート、ワイン、チーズ、カフェインなどの食物、アスパルテーム(人工甘味料)、および特定の食物に対するアレルギーがきっかけとなって起きることがあります。血糖の異常な抑制(低血糖症)によっても片頭痛が起きることがあります。
食事を変えると、片頭痛の状態がかなり変わることがあります。精白糖の使用を避け、食事を5~6回に分けて少量ずつとると、血糖値の安定に役立ち、片頭痛の回数が少なくなることがあります。繊維の多い食品を選んで摂れば、食事に含まれる糖の吸収が遅くなるという良い効果があります。また、食品添加物も避けたいものです。
いくつものサプリメントが片頭痛の予防に役立っていますが、片頭痛はいったん始まると、治す方が予防よりはるかに難しいのです。マグネシウムを1日に300~600mg摂ると、片頭痛の発作、とくに月経前症候群に関係した発作を少なくすることができます。リボフラビン(ビタミンB2、毎日400mg)を摂ると、片頭痛の発生率と症状の出現日数がかなり少なくなります。55人の患者を対象とした1998年の比較試験では、プラセボを投与したグループでは15%にしか改善が見られなかったのに対し、リボフラビンを摂取したグループでは60%に改善が見られました。
フィーバーフュー(ナツシロギク)というハーブのサプリメントが効いた人はたくさんいます。他の成分にも効果があるかもしれませんが、私は、ハーブの明らかな有効成分であるパルテノライドを250mg含んでいる標準エキスをお勧めします。フィーバーフューには抗炎症性があり、血小板の凝集を阻害します。片頭痛の回数が減ったのがわかるまでには、フィーバーフューを1ヶ月以上摂り続けなければならない場合もあります。
これらのサプリメントの他に、5-ヒドリキシトリプトファン(5-HTP)をサプリメントで毎日200~600 mg摂ると症状が軽減されることがいくつもの調査でわかっています。これは、アミノ酸トリプトファンの誘導体であり、神経伝達物質であるセロトニンの前駆体です。私も、また同僚の多くも、イチョウ葉のサプリメントが片頭痛患者に役立つことを認めています。イチョウは、片頭痛の一因であるとされる血小板活性化因子を少なくすることに役立つといわれています。

片頭痛の新しい研究

最近行われた小規模な調査から、メラトニンのサプリメントによって、片頭痛の回数を減らし、持続時間を短くし、痛さを弱めることができるという強い示唆が得られました。3ヶ月間にわたり34人の患者を調査したところ、二重盲検試験ではない短期間の調査であったにもかかわらず、意義深い結果が得られました。
様々なタイプの片頭痛において、メラトニンレベルが異常であることがわかりました。この調査では、就寝30分前に3mgのメラトニンを患者に投与しました。調査の終了時点で、頭痛の回数が50%以上減った患者は25人おり、そのうち、頭痛がなくなった者は8人、回数が75%減った者は7人でした。症状が強くなったり、副作用が生じた被験者はいませんでした。全体的にみて、頭痛の持続期間さが短くなって強さが弱まり、薬剤の使用量も大幅に減りました。
ほとんどの医師や研究者は、この調査が確定的なものではないと警告するでしょうし、またこの調査をもとに処置を講じないよう勧告することさえあるかもしれませんが、私はそうは思いません。この調査は小規模であり盲検試験ではありませんが、メラトニンは脳などの細胞組織に対する抗酸化物質として有用であること、不眠症や鬱に役立つこと、および副作用がないことから、試してみる価値はあります。
いくつかの予備的な公開調査により、コエンザイム(補酵素)Q10も片頭痛に効果があることがわかっています。2002年に行われた調査では、32人の片頭痛患者に毎日150mgのコエンザイムQ10を投与したところ、3ヵ月後には、片頭痛の発生日数と頭痛の回数が60%減っていました。
最近行われた別の調査では、血漿、血小板および脳脊髄液の中のグルタミン酸塩(グルタミンではない)の量が多いと、患者の片頭痛の強さが増すことがわかっています。グルタミン酸塩は、一般的な食品添加物(化学調味料)であるMSG(グルタミン酸ナトリウム)に含まれており、これによって急に片頭痛が起こることがあります。

カフェイン中毒

コーヒーなどのカフェイン含有飲料は、どこにでもあって社会的に受け入れられている刺激物であり、我々の文化的習慣の中では当たり前と見られています。カフェインを時々摂る程度であれば比較的害はないらしいのですが、潜在的な問題がないわけではありません。
カフェインは刺激物であり、尿中のカルシウム損失を引き起こす利尿剤であるため、骨粗鬆症のリスクが高くなります。また、胃酸過多を引き起こすこともあります。普段カフェインを摂っていない人にとっては、たとえ1杯のコーヒーでも不安や過剰な行動、頻脈、不整脈を生じることがあります。文献によると、この程度の量でも、中毒の徴候が現れることがあり、とくに頭痛や疲労、緊張、過敏、鬱の禁断症状を、また風邪のような症状でさえもコーヒーで治そうとしてしまうくらい依存するようになることがあるそうです。(カフェイン抜きのものでさえ、胃の不快感や消化不良を引き起こすことがあります。)
60を超える研究の証拠文献によれば、被験者の50%において、カフェインを絶ってから12~24時間以内に禁断症状が明白に見られたということです。摂取量が多いほど症状が激しかったのですが、毎日1杯しかコーヒーを飲んでいなかった被験者にも明らかに禁断症状が見られました(コーヒーには90~150mg、緑茶や紅茶には30~50mg、炭酸飲料には30~55mgのカフェインが含まれています)。
禁断症状のピークは1~2日以内に来ますが、2~9日間続くこともあります。コーヒーを習慣的に飲むことは、禁断症状を回避しようとしているのです。(自覚している場合も自覚していない場合もあります。)コーヒーには健康上の価値もいくつかあります。抗酸化物質がたくさん含まれているため、糖尿病のリスクを下げる場合もあります。しかし、レッドブッシュティー(カフェインが入っていない)や緑茶(カフェイン抜きのものが望ましい)のほうが健康に良く、伴うリスクも少なくなります。

Dr. J に聞く: オメガ3系脂肪酸の用量

Q: 魚もしくは亜麻仁油から摂るオメガ3系脂肪酸の適正用量はどれくらいですか。(米国メリーランド州のRLさんからEメールでのご質問)

A: 亜麻仁油に含まれるαリノレン酸の一般的な推奨量は、個人的な必要性に応じて、小さじ1~2杯から大さじ2~3杯となっています。私はこれをサラダにかけたり、ソースとして蒸し野菜にかけたりしています。私は測定していませんが、どのオイルでもそうであるように亜麻仁油は高カロリーです。最近の調査によれば、亜麻仁油は前立腺ガンのリスクを高めるものではないが、αリノレン酸(野菜や牛乳、ミートソースから摂るもの)は、前立腺ガンを患っている男性の場合、腫瘍の動きが活性化することに関係している可能性があるということです。しかし、ほとんどの文献で、亜麻仁油は前立腺ガンのリスクを下げるとされているため、亜麻仁油は上記には当てはまらないのではないかと私は思っています。
魚油のサプリメントは、亜麻仁油よりも、血小板と炎症に対する効果が高く、通常用量は、それを摂取する理由によって異なります。標準的な用量は、1日2回2000mgから、1日1回12000mgまでの範囲となっています。カプセルの場合、オメガ3系脂肪酸の含有量は様々ですが、普通は、EPA(180mg)とDHA(120mg)と組み合わせて合計約300mgとなっています。とくに子供向けには、DHAの割合が多いものを勧める人もおり、そのようなカプセルも販売されています。
関節炎や自己免疫性の病気など炎症の場合、および心臓病や脳卒中、喘息の場合は、これより用量を多くします。1オンス(約28g)の天然サーモンには、標準的なカプセル1個とほぼ同量のオメガ3系脂肪酸が含まれています。


最近のニュースから

抗鬱薬は重度の症状を軽減することができますが、青年期の自殺のリスク増加につながるおそれもあります。FDA(食品医薬品局)はこうしたつながりを軽視していたため、議会による調査を阻止したとして告発されています(ロイター通信、2004年9月9日)。他にも、関節炎による痛みの治療薬であるVioxxは心臓病のリスク増加と関係があるために、メルク社が回収したところです。しかし、メルク社もFDAも、早くも1999年にはこの関連リスクについて知っていたのです(PRWEB、2004年9月1日)。

食事と病気

ターメリック(ウコン)の成分であるクルクミンは、小児白血病を予防する可能性があります。シカゴの研究者による報告では、このスパイスによって、感染、放射能、化学物質、農薬、ウイルスなど、白血病の一部の危険因子が白血球へ影響を及ぼすのを抑制されるということです。研究所による調査では、このスパイスによって、白血病細胞の複製が阻止され、タバコの煙や加工食品の影響が妨げられました。この報告が発表された報告会で、他の研究者が、オレンジやバナナを食べると子供を白血病から守るのに役立つと報告していました(Turmeric may protect against leukemia-scientist. ロイター通信、2004年9月9日)。

赤肉(大型家畜の肉)の摂取、とくにホットドッグやベーコンなど加工肉は、II型糖尿病のリスクの大幅な増加と関係があります。37,309人の対象者による女性健康調査の結果によれば、肉の消費量が最も多かったグループでは糖尿病のリスクが28%高くなり、加工肉の場合は43%高くなっていました(Song Y, et al., A prospective study of red meat consumption and type 2 diabetes...Diabetes Care. 2004 Sep.27(9):2108-15)。コレステロール、動物性タンパク質、およびミートソースの(ヘム)鉄も、リスクの増加と関連がありました。


ジャガイモと豆とトマトのキャセロール

ジャガイモやトマトを収穫すると、私はこれらの野菜を使った何種類ものおいしそうな料理の作り方を思いつきます。適量のジャガイモを約4分の1インチ(約6mm)の厚さにスライスし、適量のトマトをそれよりも少し厚めにスライスして、焼き皿にそれぞれ交互に並べて何層かにし、下茹でしたインゲンマメの薄い層をその間にはさみます。各層を並べ終えるごとに、つぶしたニンニク、みじん切りにしたワケギの葉、生または乾燥のバジル、タイム、ぶつ切りにしたコリアンダー、挽きたてのコショウ、チリパウダー、または好みに応じて他のスパイスを適量ふりかけます(カレー風味にしても良いでしょう)。お好みで、粉のパルメザンチーズ、フェタチーズ、または砕いた豆腐で、1~2層作っても良いでしょう。チーズを入れない場合は、天然塩を少量使ってもかまいません。加熱すると全体が沈むので、何層か重ねてかさを出します。これを予熱したオーブンに入れ、400°F(約200℃)で約40分焼きますが、何分かおきに、ジャガイモが柔らかくなっているか様子を見てください。


参考文献

前向きに生きること

Yabroff KR, et al., Burden of illness in cancer survivors: findings from a population-based national sample. J Natl Cancer Inst 2004 Sep 1;96(17):1322-30.

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片頭痛

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Lipton RB, et al., Aspartame as a dietary trigger of headache. Headache 1989 Feb;29(2):90-2.

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Peres MF, et al., Cerebrospinal fluid glutamate levels in chronic migraine. Cephalalgia 2004 Sep;24(9):735-9.

カフェイン中毒

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