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2016年06月08日

ドクターからの『毎日健康ニュース』2016年5月号

ヘルシーリビング


*ドクター・ジャンスンが米国において執筆しているニュースレターを翻訳したものです。日米の食文化、栄養療法あるいは規制の違いにより、日本では入手が不可能な商品についても、原文に忠実に翻訳しておりますことをあらかじめご了承ください。
*また当社はヘルシーリビングにおいて特定商品の医学的な効果効能を説明したり、批判したりする立場にはございません。
尚、ヘルシーリビングに書かれているハーブ、ビタミン類を、ご自身で摂取される場合は、個々の商品の注意書きに従って下さい。


2016年5月号ビタミンCと白内障

今月の話題
◆ビタミンCと白内障
◆食事での果物摂取による心疾患リスクの低下
◆運動が脳や筋肉量にもたらす効果
◆食物繊維の多量摂取による肺機能への効果



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ビタミンCと白内障

ビタミンCは、免疫系を支える抗酸化剤・抗炎症剤として多くの効果をもたらすだけでなく、視力を守るのにも役立ちます。最近行われた研究では、目の水晶体に生じる白内障の予防にも役立つ可能性があることがわかっています。この研究では、複数の遺伝学的研究にもとづき、「白内障リスクの約35%は遺伝的要素を一因とするが、残りの65%は栄養摂取を含む環境要因による」と推定しています。ここでの栄養摂取とは、具体的には、ビタミンCおよび微量元素であるマンガンを食事で摂ることを意味しています。

この研究では、英国内の白人女性の双子2,054人について食事摂取量の計測データを集めました。そして、食品摂取頻度調査票を用いて各自の栄養摂取量を調べ、そのデータを白内障の発症率と比較しました。その後、できるかぎり多くの被験者を平均9.4年間追跡し、追跡期間の終了時点で、そのうち324人に関する白内障の計測データが得られました。

その結果、調査開始時点での核性白内障の発症率、および調査期間中における核性白内障の進行に対して、食事でのビタミンC摂取による効果が見られました。調査開始時点では、ビタミンCの摂取量が最も多かったグループは、その摂取量が最も少なかったグループと比較して、白内障のリスクが19%低くなっており、調査期間中における白内障の進行リスクも33%低くなっていました。マンガンの摂取、および他の微量栄養素のサプリメントによる効果は、調査開始時点でのデータでは見られましたが、調査終了時点でのデータでは、それ以上の効果は見られませんでした。マンガンの摂取量が最も多かったグループでは、調査開始時点での白内障リスクは20%低くなっていましたが、白内障の進行に対する予防効果は見られませんでした。 (Yonova-Doing E, et al., Genetic and dietary factors influencing the progression of nuclear cataract. Ophthalmology. 2016 Mar 15. pii: S0161-6420(16)00114-7. doi: 10.1016/j.ophtha.2016.01.036.)

この研究グループによると、微量栄養素をサプリメントの形で摂ることと、核性白内障の進行には、統計的に有意な関連は見られなかったということです。このことを重要な結論のように見せているニュース記事が少なくとも1つありますが、そのような記事は語弊があります。この論文によると、サプリメントを摂っていると回答した被験者は約10%に過ぎず(これは驚くほど低い数字です)、そのため、「統計的に有意な関連が見られなかった」というのは、サプリメントの有意義な評価を行うのに十分な数の被験者がいなかった、ということに過ぎません。

他の諸研究では、サプリメントの摂取や、血清中の栄養素値が高い状態(これは主にサプリメント摂取者に見られるのが普通)による白内障の予防効果が示されています。(Wei L, et al., Association of vitamin C with the risk of age-related cataract: a meta-analysis. Acta Ophthalmol. 2016 May;94(3):e170-6.) 黄斑変性症、ドライアイ症候群、白内障を含むいくつかの目の病気に対し、様々な栄養素に予防効果があることがわかっています。それらには、ルテイン、ゼアキサンチン、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、オメガ3系脂肪酸(EPA・DHA)などがあります。こうした栄養素の摂取は、「進行した黄斑変性の発生率を下げるための栄養療法として、依然として最も実績がある」と論文執筆者は述べています。(McCusker MM, et al., An eye on nutrition: The role of vitamins, essential fatty acids, and antioxidants in age-related macular degeneration, dry eye syndrome, and cataract. Clin Dermatol. 2016 Mar-Apr;34(2):276-85.)

ただし、ビタミンCのサプリメントに白内障の予防効果があることが、すべての研究で示されているわけではありません。しかし、ビタミンCを追加摂取してもリスクはないため、こうした情報がすべて同じ結果に揃うまで待つ価値はあるのでしょうか?

実践的ガイドライン
多くの理由で、一番良いのは、果物と野菜からビタミンCをたくさん摂ることです。果物や野菜には、ビタミンCだけでなく、多種多様な栄養素、ならびに食物繊維が含まれています。ビタミンCを豊富に含む食品には、たとえば、ピーマン、葉野菜、パパイヤ、ブロッコリー、ベリー類、パイナップル、柑橘類、キウイなどがあります。私は、老化防止、炎症予防、免疫力強化のために、サプリメントの形でもビタミンCをきわめて大量に(通常は1日6,000 mg)摂っています。

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食事での果物摂取による心疾患リスクの低下

果物をたくさん食べることの理由が、早くも、もう一つ見つかりました。新鮮な果物の定期的摂取によって、心臓発作および脳卒中による死亡のリスクが低くなるという関連が、中国での研究で見られています。中国における果物の摂取量は西洋人より少ない状態です。この研究は、2004年から2008年までの間に30~79歳の成人512,891人を募集して約7年間追跡したもので、その追跡人年は320万人年にもなりました。調査の開始時点で循環器疾患の既往歴も高血圧症の治療歴もなかった被験者451,665を対象として調査期間中に記録された各件数は、循環器疾患による死亡が5,173件、主要冠動脈イベントが2,551件、虚血性脳卒中(血栓による脳組織への血流遮断)が14,579件、脳内出血が3,523件でした。

全体的に見て、新鮮な果物を毎日摂っていると回答した被験者は18%に過ぎませんでした。新鮮な果物を全くまたは滅多に食べないグループと比較して、新鮮な果物を毎日摂っているグループのほうが、収縮期血圧(最大血圧)と血糖値が低くなっていました。また、この果物摂取グループのほうが、循環器疾患で死亡する可能性が40%低く、心臓発作などの主要冠動脈イベントを発症する可能性が34%低くなっていました。また、虚血性脳卒中を発症する可能性は25%低く、出血性脳卒中を発症する可能性は36%低くなっていました。調査したどの疾患についても、果物の摂取量が多いほど予防効果の量が多くなるという正比例の関係が見られました。

血糖値が低いほど、また、血圧値が低いほど、循環器疾患のリスク因子は少なくなりますが、こうしたリスク因子は、上記の特定イベントのリスク低下にはほとんど関係しておらず、他の食事関連・非食事関連のリスク因子も同様でした。これは、果物摂取による別の何らかの効果が働いていることを示しています。(Du H, et al., Fresh fruit consumption and major cardiovascular disease in China.N Engl J Med. 2016 Apr 7;374(14):1332-43.)

実践的ガイドライン
大病を予防するための食事を考える場合、果物は重要な構成要素となります。果物には、食物繊維、ビタミン、ミネラル、その他のフィトケミカルが豊富に含まれています。果物はその水分さえ貴重であり、1日に必要な水分を摂るのに役立ちます。私は普段、スイカ、パパイヤ、バナナ、パイナップル、マンゴー、カンタロープ(赤肉種のマスクメロン)、リンゴ、西洋ナシ、モモ、ネクタリン、そしてとくにベリー類などの果物を、1日4~6皿(またはそれ以上)食べています。ブルーベリー、イチゴ、ラズベリーは大好物ですが、従来品は農薬で汚染されている傾向があるため、新鮮なオーガニックのものが入手できない時期は、通常、冷凍ものを買わないと、オーガニックのものが手に入りません。

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運動が脳や筋肉量にもたらす効果

筋肉の質を評価する場合、研究者は機能している運動単位の数と、神経筋伝達の安定性を調べます。人は加齢に伴って運動単位数が減少し、一般的に70~80歳代で、その急激な低下が見られます。カナダのある研究グループは、以前、65歳のマスターズ(中高年クラス)・ランナーについて、年齢適合対照群と比較して運動単位数が多いという研究結果を示しました。このグループは、その後の試みとして、80歳前後のマスターズ・アスリートにおける運動単位数および運動単位の安定性を調べ、マスターズ・アスリートではないが健康である年齢適合対照群と比較しました。その研究では、前脛骨筋(下腿部の前面にあり、膝方向に足を上げられるようにする筋肉)を用いて、筋肉量、筋力、および神経筋伝達の安定性を評価しました。

マスターズ・アスリートのグループでは、対照群と比較して、活動筋量が14%多く、機能している運動単位数も28%高くなっていました。神経筋伝達の安定性も、対照群より高い状態でした(何とこれは、「ジッター」値と「ジグル」値が対照群より低いことからわかりました)。こうした結果はすべて、80歳代になっても定期的に運動していると筋肉量の維持に役立ち、細胞レベルで筋肉が若く保たれることを示しています。(Power GA, et al., Motor unit number and transmission stability in octogenarian world class athletes: can age- related deficits be outrun? J Appl Physiol (1985). 2016 Mar 24:jap.00149.2016. doi: 10.1152/japplphysiol.00149.2016. [印刷物に先行した電子出版])

年齢を問わず、運動することの価値はいくら強調してもし過ぎることはありません。老齢になると、日常的な生活活動や余暇活動に役立てるため、機能を維持することがさらにいっそう重要になります。バランス能力を維持して転倒を防ぐことも同様に重要となります。また、加齢に伴って精神機能を維持するためにも運動が有用であることが、別の研究で示されています。運動は、集中力と焦点調節力を高めることにより、転倒の予防にも役立ちます。また、余暇身体活動には、認知症を防ぐ効果があります。

北マンハッタン研究(マンハッタン北部の住民を対象としたコホート研究)の一環として、ある研究グループは1,288人を対象として、まず調査開始時に、被験者の余暇身体活動について調べ、標準的な神経心理学的検査を用いて認知機能を評価しました。この神経心理学的検査は、その後5年間繰り返されました。余暇身体活動のレベルは、皆無~軽度と、中程度~強度の2つに分類され、精神機能のサブカテゴリーには、処理速度、意味(単語)記憶、エピソード記憶、実行機能が含まれました。

この調査の開始時点では、身体活動が皆無~軽度であったグループのほうが、実行機能・意味記憶・処理速度の数値が低い状態でした。しかし、この研究グループは、血管リスク因子における違いがこうした差をもたらした可能性がある、と述べています(もちろん運動不足による影響もあると考えられます)。身体活動が中程度~強度であったグループのほうが、その後5年間ずっと、処理速度およびエピソード記憶という面で、認知機能が高く維持されていました。こうした効果が最も顕著に見られたのは、調査開始時点で正常な状態であったグループでした。これは、運動を早く始めるほど、最大の効果が得られる可能性が高くなることを示唆しています。認知低下が始まるまで運動を始めずにいると、かなり不利になります。

上記の研究論文によると、身体活動が皆無~軽度であったグループは、中程度~強度であったグループに比べて、認知低下(脳老化)が10年早くなることがわかったということです。 (Willey JZ, et al., Leisure-time physical activity associates with cognitive decline: The Northern Manhattan Study. Neurology. 2016 Mar 23. pii: 10.1212/WNL.0000000000002582. [印刷物に先行した電子出版])

実践的ガイドライン
健康のための活動として、定期的に運動することが最も重要と考えられます。ウォーキングやサイクリング、テニスなどのラケットスポーツ(私は今ピックルボールが気に入ってます)、水泳、ダンス、エアロバイク、ボート漕ぎ、ジムのステア・マシン(階段昇降マシン)やエリプティカル・マシン(ペダルを踏むと足が楕円形を描くようになっているマシン)を使った運動を組み合わせて行うことをお勧めします。ちょっとした筋力トレーニングでも良く、これはたくさんしなくても、やる価値はあります。運動は、多くできるほど良いのですが、定期的にすることが重要です。筋力トレーニングについては、「スマートジム」という家庭用ジム用品がとくに優れているとわかりました(www.smartgym.com)。これは、家庭でもほとんど場所をとらず、かなり安価で、様々な筋力トレーニングが可能です。私は夏に旅行すると、どこでもウォーキングするし、運動用のゴムバンドもいくつか持ち歩きます。(インターネットなら多くが10ドル程度で売られており、私は5種類の負荷抵抗のゴムバンドが入ったFlexActiveセットを使っています。全部袋に入れてもこぶし大なので旅行に最適です。)

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食物繊維の多量摂取による肺機能への効果

食物繊維は、食品の消化されない部分であり、ほとんどそのままの形で腸管を通過します(一部は下部結腸で微生物によって発酵されます)。とはいえ、食物繊維は決して、取るに足らないものではありません。これは、腸機能を助け、結腸をきれいにし、毒素を吸収し、また、満腹感を覚えさせて食欲を抑制するのに役立ちます。食物繊維を多く含む食事には、多くの疾患のリスク低下との関連が見られており、こうした効果は、食物繊維そのものに関係している部分もあれば、食物繊維を多く含む食品に見られるその他の数多くの栄養素に関係している部分もあると思われます。食物繊維を多く含む食品には、全粒穀物、豆類、野菜、果物、種子類(ゴマや、ヒマワリの種、カボチャの種など)があります。

全米健康栄養調査の一環として収集された情報には、食事での摂取量、および肺機能を示す肺活量測定値のデータも含まれていました。ある研究グループが、肺活量の測定値と食物繊維の摂取量のデータが両方とも入手可能であった参加者1,921人について評価を行いました。肺機能検査の1つは強制呼気容量1(FEV1)と呼ばれるもので、呼気開始から1秒間に強制的に吐き出すことができる空気の合計量を調べます。もう1つの検査は強制肺活量(FVC)と呼ばれるもので、息を1回完全に吐き出して強制的に出すことができる空気の合計量を調べます。

食物繊維の摂取量が最も多かったグループでは、その摂取量が最も少なかったグループと比較して、強制呼気容量1の値が82 mL高く、強制肺活量の値も129 mL高くなっていました。強制肺活量については、過去に、長寿の予測に関連付けられています(肺機能が高いほど寿命が長くなると予測されました)。全体的な分析では、食物繊維の摂取量が多いほうが、肺機能が正常である人の割合が高くなり、気流制限がある被験者の割合が有意に低くなるという関連が見られました。(Hanson C, et al., The relationship between dietary fiber intake and lung function in NHANES. Ann Am Thorac Soc. 2016 Jan 19. [印刷物に先行した電子出版])


実践的ガイドライン
西洋式の食事に含まれる一般的な食物繊維量は10~15 gです。ガイドラインでは、1日当たり25 gの食物繊維を摂る努力をするよう推奨されています。1950年代にデニス・バーキットが調査した現地アフリカ人の食事には、約100 gの食物繊維が含まれていました(現地アフリカ人は、きわめて運動量の多い生活をしていたため、当然、大量の食料を食べていました)。その主食はジャガイモ、バナナ、コーンミール、豆類で、これはどれも食物繊維を多く含んでいます。動物性食品には食物繊維は含まれていないため、私は1975年以来、獣肉も鳥肉も食べていません。オーガニックの無脂肪ヨーグルトを食べるときは、バナナやベリー類(ブルーベリー、ラズベリー、イチゴ)を入れて、食物繊維不足を補います。クルミやアーモンドもよく入れます。食物繊維が多い食品には、他にも数多くの栄養素が含まれており、そうした栄養素が、ここで見られた健康効果の全部または一部に寄与していると考えられます。

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