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2015年11月10日

ドクターからの『毎日健康ニュース』2015年9&10月号

ヘルシーリビング


*ドクター・ジャンスンが米国において執筆しているニュースレターを翻訳したものです。日米の食文化、栄養療法あるいは規制の違いにより、日本では入手が不可能な商品についても、原文に忠実に翻訳しておりますことをあらかじめご了承ください。
*また当社はヘルシーリビングにおいて特定商品の医学的な効果効能を説明したり、批判したりする立場にはございません。
尚、ヘルシーリビングに書かれているハーブ、ビタミン類を、ご自身で摂取される場合は、個々の商品の注意書きに従って下さい。


2015年9&10月号コエンザイムQ10と心房細動

今月の話題
コエンザイムQ10と心房細動
健康的な食事による死亡率低下
砂糖入り飲料は糖尿病のリスクを高める
ビタミンDが転倒予防に役立つ可能性
うつとガンに対するクルクミンの効果






コエンザイムQ10と心房細動

心房細動とは、心臓の小さい方の部屋(心房)が規則正しく拍動しておらず、律動的に収縮せずに単に震えている状態をいいます。これは心機能低下の原因となりますが、ただ、心房拍動によって左心室に送られる血液の割合は20%に過ぎない(その他は僧房弁を通って受動的に左心室に流れる)ため、通常は、身体を衰弱させるような病気ではありません。とはいえ、心房が収縮していないので、血液が心房壁の複雑な管状通路にたまって凝固してしまう可能性が高くなります。そのため、持続性の心房細動患者に対しては、押し流された血栓によって脳卒中や他の組織損傷が起こるのを防ぐため、ワルファリン(クマディン)などの抗凝血剤や、それと同じ用途である一部の新薬が処方されるのが通例です。

心不全の患者は心房細動を生じることが多く、心不全の重症度によっては、心不整脈が重症化するリスクが高くなるとも考えらえます。ある新しい研究では、102人の心不全患者に対し、通常の心不全治療薬+プラセボ、もしくは、それと同じ治療薬+コエンザイムQ10のサプリメント(1日30mg)のいずれかの組合せを与える試験を行いました。被験者の内訳は、男性72人、女性30人で、年齢は45~82歳でした。試験開始時の調査では、心エコー検査(訳注:原稿はelectrocardiogram=心電図となっていますが、論文の抄録を見たところDoppler echocardiography=ドップラー心エコー検査となっていました)と24時間ホルタ―心電図検査を行い、また、心疾患リスクの指標となる炎症性物質の血中値を調べました。そして6カ月後と12カ月後の時点で再び調査を行いました。

2回の追跡調査のいずれにおいても、コエンザイムQ10との組合せを与えたグループ(=処置グループ)のほうが、心房細動の発生率が有意に低くなっていました。そのうち12カ月後の調査時点では、心房細動の発生率が、薬剤のみのグループ(=対照グループ)では22.2%であった一方、処置グループでは6.3%でした。また、心筋機能(駆出率)の改善率についても、両方の追跡調査において、処置グループのほうが対照グループより有意に高くなっていました(対照グループが19%であったのに対し24%)。また、炎症マーカー値も、処置グループのほうが対照グループより顕著に低くなっていました。例えば、C反応タンパク(CRP)値の低下率は、対照グループでは20%でしたが、処置グループでは40%でした。(Zhao Q, et al., Effect of coenzyme q10 on the incidence of atrial fibrillation in patients with heart failure. J Investig Med. 2015 Jun;63(5):735-9.)

実践的ガイドライン

コエンザイムQ10は、筋細胞内でのエネルギー産生に不可欠であり、心臓は、他のいかなる筋肉よりも多くのコエンザイムQ10を必要とします。心疾患患者は、コエンザイムQ10値が低過ぎることが多く、スタチン系の薬剤治療を行うと、その値がさらに低下することがあります。上記の研究で用いられたコエンザイムQ10の用量(30 mg)は、一般的な治療用量(100~400 mg、もしくは重度の心疾患患者の場合はそれ以上)と比べ、極めて少ないものでした。

試験が期待どおりの結果が出ないように計画することは容易ですが、上記の研究について私が驚いたのは、このような少ない用量で、かつ、比較的少人数の被験者グループで、こうした統計的に有意な効果が見られたことです。この研究に伴う引用文献のうち、特定用量のコエンザイムQ10を与えた研究は1つしかなく、しかもそこで用いられた用量は1日当たり平均100 mgだったので、前述の研究で選択された治療用量がわずか30 mgというのは驚きです。私は、1日当たり100~200 mg摂ることをお勧めしています(私は400 mg摂っています)。ユビキノール(還元型)よりユビキノン(酸化型)のほうが多く見られ、ユビキノンは体内でユビキノールに変換されますがユビキノールを摂ったほうが、効果がありそうです。



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健康的な食事による死亡率低下
米国政府による「アメリカ人のための食生活指針(DGA)」の定義にもとづく健康的な食事により、主要な慢性疾患の罹患率およびそれによる死亡率が下がることを示した研究はいくつかありますが、そうした研究はほとんど、ヒスパニック系でない白人を対象としたものとなっています。アフリカ系アメリカ人や低所得者層についても同じデータが得られるか否かは、これまで不明でした。(なおDGAについては、人が選択できる最も健康的な食事とはかぎらないと私は思っています。)
ある新しい前向き研究にて、研究グループは、米国南東部の12州から、低所得者層に含まれる40~79歳のアメリカ人成人84,735人を募集・採用しました。そして最近公表されたそのレポートには、アフリカ系アメリカ人50,434人、白色人種24,054人、その他の人種・民族から成る被験者3,084人から得られたデータが記載されていました。この被験者のほとんどは、年間家計所得が15,000ドル未満でした。被験者の食事調査は、有効性が確認されている食品摂取頻度調査票を用いて行われ、DGAの順守状態については、健康食事インデックス(HEI)により測定されました。被験者の追跡期間は平均6.2年でした。

追跡期間中に死亡した被験者数は6,906人で、そのうち循環器疾患による死亡は2,244人、ガンによる死亡は1,794人、その他の疾患による死亡は2,550人でした。HEIのスコアが最も高かったグループでは、HEIのスコアが最も低かったグループと比較して、死亡リスクが19~23%低くなっていました。より健康的な食事による効果は、民族、性別、所得レベルに関係なく見られました。HEIの構成要素のうち、健康度の改善に最大級の関連が見られたのは、全粒穀物、乳製品、魚介類、植物性タンパク質、ならびに、不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の比率(つまり、動物性脂肪が少なく、植物由来の必須脂肪酸が多い状態)でした。(Yu D, et al., Healthy eating and risks of total and cause-specific death among low-income populations of African-Americans and other adults in the southeastern United States: a prospective cohort study. PLoS Med. 2015 May 26;12(5):e1001830;.)

これと関連する情報が、アフリカ系アメリカ人20人を南アフリカの地方在住アフリカ人20人と比較した研究から得られています。その研究では、この2つのグループ間で食事内容を2週間取り換えました。つまり、アフリカ系アメリカ人には、動物性タンパク質と脂肪が少なくて食物繊維と野菜・豆類・コーンミールを多く摂る、まさに現地アフリカ人と同じ食事を実践させ、一方、アフリカ人には、脂肪分の多い獣肉やチーズを含む典型的なアメリカ式の食事を実践させました。

わずか2週間後に被験者の大腸内視鏡検査を行った結果、アフリカ式の食事を実践したアメリカ人グループには、結腸ガンのリスクを示すマーカー値にすでに改善が見られた一方、アメリカ式の食事を実践したアフリカ人グループには、前がん状態の細胞の発生を示唆する変化が生じていました。その他にも、アフリカ式の食事の場合にはガンのリスク低下を示唆する微生物叢の変化が見られ、アメリカ式の食事の場合にはそのリスク増加を示唆する微生物叢の変化が見られました。(O'Keefe SJ, et al., Fat, fibre and cancer risk in African Americans and rural Africans. Nat Commun. 2015 Apr 28;6:6342.)

実践的ガイドライン

健康的な食事によって慢性疾患のリスクが低くなると聞いても驚きませんが、わずか2週間でリスクの変化を示す現象が認められたのは驚きです。食物繊維と野菜を多く摂り、動物性脂肪・精製食品・獣肉の摂取量を減らし、全粒穀物や加工されていない果物と野菜、マメ科植物、種子類、ナッツ類、魚を中心とした食事を摂る、というのが基本的なメッセージです。先進工業国の典型的な食事は、こうした食事とは懸け離れています。



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砂糖入り飲料は糖尿病のリスクを高める

あるレビュー研究にて、砂糖入り飲料・人工甘味料入り飲料・果汁飲料と2型糖尿病との関係を分析したものがあります。この研究グループは、米国での全国調査(糖尿病のない成人1億8,900万人を含むもの)や英国での全国調査(4,400万人を含むもの)を用いた前向き研究のみを調査対象とし、2014年までに公表された研究のデータを含めました。

その結果、砂糖入り飲料を1日当たり1杯多く摂るごとに2型糖尿病の発生率が18%高くなるという関係が見られ、肥満という因子を除いたところ、この増加率は13%となりました(糖尿病のリスクがすべて体重増加に起因するとは限らないという意味です)。人工甘味料入り飲料については、1杯当たりのリスク増加は25%でしたが、肥満という因子を除いた場合、この増加率はわずか8%でした(これは肥満が糖尿病のリスクにも人工甘味料入り飲料をよく飲むことにも関連していることを示唆しています)。果汁飲料については、糖尿病のリスク増加は見られましたが、その原因はほとんどすべて肥満にあり、飲料そのものにはありませんでした。

このレビュー論文の執筆者は、10年間で約10%の糖尿病症例が砂糖入り飲料の摂取に起因していると考えることができると推論しています。また、この執筆者によると、人工甘味料入り飲料も、果汁飲料も、健康面では砂糖入り飲料の代わりとなりそうにありません。

実践的ガイドライン:

砂糖入り飲料を飲んでいる人は、こうしたメッセージに耳を傾けそうにありませんが、場合によっては飲むかもしれない少数派にメッセージを繰り返すことは重要です。果汁飲料のほうがずっと良いという事実が上記の論文からは不明瞭ですが、果汁飲料のほうが少なくともいくつかの栄養素をもたらす可能性が高いことは確かです。問題は、ほとんどの果汁飲料が、多くの砂糖入り飲料と同じくらい甘いということです。果汁飲料は、きわめて薄く希釈されている場合にのみ使うことをお勧めします。私なら、果汁10~15%程度のものを、水や発泡水の風味付けとして使うくらいでしょう。



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ビタミンDが転倒予防に役立つ可能性

最近の多くの論文で、ビタミンDの健康効果について報告されています。ある新しい研究では、外出ができない高齢者を対象とし、ビタミンDのサプリメントでビタミンD値を高めれば骨折発生率が下がる可能性があるか調べました。この研究の被験者は、外出ができないことから、日光に多く当たってる可能性が低く、また、それと併せて高齢ということは、皮膚に紫外線が作用して生成されるビタミンDの量があまり多そうにない、ということを意味します。

被験者は65~102歳の成人68人でした。研究グループは、ミールズ・オン・ホイールズ(在宅の老人や高齢者に食事を運ぶサービス)のプログラムを利用して、プラセボもしくは100,000 IUのビタミンDを月1回、被験者に与えました。この量は、1日当たり3,300 IUという平均的な1日用量の1カ月分に相当します。ビタミンDは脂溶性であり、水溶性のビタミンより長く体内にとどまるため、月1回の投与でも不当ではなく、また、回数が少ないほうが被験者が従いやすいのです。プラセボは、1カ月分の低用量ビタミンEでした。

試験開始時に調べた血清ビタミンD(25(OH)D3)値が、欠乏とみなされる20 ng/mL未満であった被験者の割合は57%でした。上記の処置を5カ月施した結果、終了時の検査でもビタミンD値が低かったのは、ビタミンDを与えたグループでは1名のみでした。一方、プラセボグループでは25人のうち18人が20 ng/mL未満のままでした。(20~40 ng/mL以上が健康的な値ですが、最適な健康状態とするため40~60 ng/mL、もしくはさらに高くするよう勧めている専門家も多くいます。)

5カ月後の結果にもとづく統計分析により、処置グループ(ビタミンDを与えたグループ)のほうが対照グループより転倒率が58%低いことがわかりました。(Houston DK, et al., Delivery of a Vitamin D Intervention in Homebound Older Adults Using a Meals-on-Wheels Program: A Pilot Study. J Am Geriatr Soc. 2015 Aug 16. doi: 10.1111/jgs.13610. [印刷物に先行した電子出版])

それより前、2010年に公表されたある研究では、デザインが異なり、違う結果が得られています。ただし、その研究は、500,000 IUという年間用量のビタミンDを1回投与したもので、処置グループのほうがプラセボグループより骨折率と転倒数がわずかに高いという結果が見られています。前述の新しい研究では、合計500,000 IUのビタミンDをちょうど5カ月に分けて用いる形としました。また、2010年の研究は、外出ができない人を対象としたものではなく、試験開始時点での被験者のビタミンD値がこちらの方が高かった(重度の欠乏症である人の割合が3%未満であった)という点で異なっています。(Sanders KM, et al., Annual high-dose oral vitamin D and falls and fractures in older women: a randomized controlled trial. JAMA. 2010 May 12;303(18):1815-22.)

実践的ガイドライン

サプリメントを用いてビタミンD値を高くすれば、多くの健康効果が得られます。こうした効果については、これまでニュースレターで何度も紹介してきました。転倒は、入院や永久的就労不能を招いたり死につながることも少なくないので、深刻な健康問題となります。血清中のビタミンD値を調べてもらい、十分なサプリメントを摂ることにより、ビタミンD値を40~60 ng/mLまで引き上げることをお勧めします。そのためには通例、1日当たり2000~8000 IUのビタミンDを摂る必要があり、この量は、年齢や日光暴露量、住んでいる場所、食事内容、個人の代謝量によって異なります。



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うつとガンに対するクルクミンの効果

今年公表された研究論文で、クルクミン(ターメリック・エキス)のサプリメント摂取による効果を示したものが2本あり、うつの治療効果、ガンの予防効果、およびガンの治療に役立つ可能性について情報が提供されています。うつへの効果を調べた研究は、大うつ病性障害の患者50人に、クルクミンのエキス(500 mg を1日2回)もしくはプラセボを8週間与えたもので、IDS-SR30と呼ばれるうつ状態自己評価尺度を用いてうつの重症度を測定しました。この研究では、尿中バイオマーカー値と血液バイオマーカー値も測定されました。

8週間後の検査の結果、クルクミンを与えたグループでは、プラセボグループと比較して、IDS-SR30のスコアに有意な改善が見られました。うつと関連のあるバイオマーカー値も、クルクミンのグループでは低下していました。(Lopresti AL, et al., Curcumin and major depression: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial investigating the potential of peripheral biomarkers to predict treatment response and antidepressant mechanisms of change. Eur Neuropsychopharmacol. 2015 Jan;25(1):38-50.)

上記と同じ論文執筆者のグループがそれより前に行った試験では、上記と同じ用量のクルクミン・エキスのサプリメント摂取により、4週間後と8週間後の両方の時点で、IDS-SR30の総スコアならびに気分を示す特定のスコアに有意な改善が見られました。(Lopresti AL, et al., Curcumin for the treatment of major depression: a randomised, double-blind, placebo controlled study. J Affect Disord. 2014;167:368-75.)

ガンの予防と治療に対するクルクミンの効果を示した研究はいくつかあり、2月に公表されたレビュー研究では、クルクミンを、様々な腫瘍の発生・進行・転移を抑制するポリフェノール性抗炎症物質として評しています。その執筆者の説明によると、こうした抗ガン作用は、ガン促進分子の負の調節を介してもたらされるということです。また、これはガン細胞の増殖を食い止め、アポトーシス(プログラムされた細胞死)を誘発し、血管形成(腫瘍に栄養を送るための新しい血管の増殖)を抑制します。(Shanmugam MK, et al., The multifaceted role of curcumin in cancer prevention and treatment. Molecules. 2015 Feb 5;20(2):2728-69.)

実践的ガイドライン

私は、約500 mgのクルクミン(ターメリックの標準エキス)を1日2回摂っています。また、いろいろなカレー料理を味わうのも好きで、これはカレーに含まれるターメリックを摂るためでもあります。クルクミンは吸収がとても良いわけではないので、1回に多く摂る必要がありますが、かなり高用量で摂取してもきわめて安全です(ある研究では1日当たり6,000 mgという量を用いて、乳ガン患者の放射線皮膚障害の治療に成功しています)。一部のガン専門医による主張に反し、(クルクミンなどを含む)抗酸化物質は、化学療法の効果を妨げるものではなく、実際にはその効果を高め、副作用の予防に役立ちます。



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