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2016年04月13日

ドクターからの『毎日健康ニュース』2016年3&4月号

ヘルシーリビング


*ドクター・ジャンスンが米国において執筆しているニュースレターを翻訳したものです。日米の食文化、栄養療法あるいは規制の違いにより、日本では入手が不可能な商品についても、原文に忠実に翻訳しておりますことをあらかじめご了承ください。
*また当社はヘルシーリビングにおいて特定商品の医学的な効果効能を説明したり、批判したりする立場にはございません。
尚、ヘルシーリビングに書かれているハーブ、ビタミン類を、ご自身で摂取される場合は、個々の商品の注意書きに従って下さい。


2016年3&4月号レスベラトロールがアルツハイマー病にもたらす効果

今月の話題
◆レスベラトロールがアルツハイマー病にもたらす効果
◆亜鉛と妊娠転帰
◆血中脂質と動脈壁硬化との関係
◆健康的な脂質摂取が寿命が延ばす可能性
◆ビタミンEは細胞の老化を減らす

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レスベラトロールがアルツハイマー病にもたらす効果

レスベラトロールはポリフェノールの一種で、赤や紫のブドウ(ほとんど皮の部分)、クランベリー、ブルーベリー、ピーナッツに含まれ、最も良く知られている摂取源は赤ワインです。グラス1杯のワインに、約200~2,000μg、つまり0.2~2.0mgのレスベラトロールが含まれると考えられます。ピーナッツバター1g当たりの含有量は約5μgで、大さじ1杯が約16g(約105カロリー)のため、大さじ2杯で約160μgのレズベラトロールが得られます。

新しい情報によると、レスベラトロールはアルツハイマー病患者に役立つ可能性があります。ある無作為化二重盲検プラセボ比較で、軽度から中程度のアルツハイマー病患者119人を被験者とし、その半分に、レスベラトロール500mgを1日1回経口投与し、その投与量を13週ごとに500mgずつ増やしました。この試験は52週間続けられ、レスベラトロールとその主要代謝産物の数値は、血液および脳脊髄液から測定できました。

この研究では、血漿中および脳脊髄液中のアミロイドβ40値を測定しました。アルツハイマー型認知症が進行すると、血漿と脳脊髄液のいずれにおいてもアミロイドβ40が減少します。研究グループは、脳の容積を調べるためにMRI検査も行いました。一部の患者には吐き気や下痢が見られましたが、レスベラトロールは安全で耐容性は概して良好でした。

52週の試験終了時点で、アミロイドβ40は、血漿中・脊髄液中のいずれの値も、レスベラトロールを与えたグループより、プラセボグループのほうが低下していました。この研究グループによると、レスベラトロールのグループは、プラセボグループより脳容積の減少率が高かったということです。脳容積が減少した理由として、研究グループは、こうした処置(レスベラトロールの投与)によって炎症の減少が誘発された可能性がある、と推測しています。(Turner RS, et al., A randomized, double-blind, placebo-controlled trial of resveratrol for Alzheimer disease. Neurology. 2015 Oct 20;85(16):1383-91.)

実践的ガイドライン

参考までに、上記の研究で用いられたレスベラトロールの量は、赤ワインに換算するとグラス1,000杯に含まれる量に相当します。よって、食事で摂るレベルには関係ありません。しかし、アルツハイマー病のような深刻な疾患に対処する場合は、食品から摂取できる量より多い量を、安全であるかぎり試してみる価値はあります。市販のサプリメントは、レスベラトロールの含有量が30mgから250mgのものまであります。


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亜鉛と妊婦転帰

亜鉛は、食事で必要とされる微量ミネラルであり、最大300もの酵素系における補因子です。出生前も、出生後も、発育と発達に必要とされ、免疫機能、傷の治癒、抗酸化活性にも不可欠です。亜鉛は前立腺機能、生殖器官の発達、および脳機能における重要な栄養素であり、AREDS(加齢性眼疾患研究)では、網膜の健康維持にも重要であることがわかっています。亜鉛の欠乏には、大うつ病性障害との関連が見られています。

中国で最近行われた研究で、十分な亜鉛摂取が健康的な妊娠転帰にとって重要であることが示されています。この研究は、3,081人の母親の出産記録を調べたもので、この被験者は、亜鉛値を調べるために分析された血清サンプルを含む詳しい出産記録がある人々でした。この被験者グループでは、169件の早期産が確認されました。被験者は血清中の亜鉛値にもとづいて3等分され、「低」(76.7μg/dL未満)、「中」(76.7~99.6μg/dL)、「高」(99.7μg/dL以上)のグループに分かれました。

早期産の発生率は、亜鉛値が「低」のグループで7.3%、「中」のグループで6.0%であり、「高」のグループでは3%程度に過ぎませんでした。(Wang H, et al., Maternal serum zinc concentration during pregnancy is inversely associated with risk of preterm birth in a Chinese population. J Nutr. 2016 Jan 27. pii: jn220632. [印刷物に先行した電子出版]) この結果から、健康的な妊娠のためには幅広い栄養摂取が重要であることがわかります。この研究で、十分な亜鉛値による効果が最も高かった時期は、妊娠の第一期でした。

実践的ガイドライン

食事では、獣肉や貝類・甲殻類などから亜鉛を摂ることができますが、全粒穀物、パンプキンシード(カボチャの種)、ゴマ、豆類、ナッツ類(アーモンドなど)から摂るほうが健康的です。ほとんどのマルチビタミンサプリメントには、大抵の場合十分とされる基本的な量の亜鉛が含まれており、ビジョンフォーミュラ(目の健康のためのサプリメント)には、常にそうした量が含まれています。亜鉛を高用量で長期間摂ると、銅の欠乏を引き起こす可能性があります。亜鉛トローチは、喉の痛みや風邪に役立つことがあります。


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血中脂質と動脈壁硬化との関係

多価不飽和脂肪酸は、コーン油、大豆油、サフラワー油、キャノーラ油、ピーナッツ油などの植物油に見られ、こうした油には主にオメガ6脂肪酸が含まれています。これは冷蔵庫の中でも液体のままであり、(室温でも)固まる飽和脂肪のように凝固することはありません。冷たい水の中で生きている魚は、柔軟性を保ったまま泳ぎ回ることができるよう、自己の組織内に他より多くの多価不飽和脂肪が必要なのです。人の健康に最も重要な多価不飽和脂肪はオメガ3の油であり、これは、抗炎症作用、血小板の粘性の抑制、循環器疾患のリスク低下、うっ血性心不全への効果、血圧とトリグリセリドの低下、喘息への効果など、数多くの生理学的効果をもたらします。

動脈壁は、内皮細胞、筋肉、エラスチンおよびコラーゲンで構成され、通常はとても柔軟ですが、加齢とともに硬くなりやすく、とくに、高血圧や炎症によるストレスを受けると硬くなりがちです。動脈壁の硬化は、循環器疾患リスクの指標となります。動脈が硬くなると、心臓は血液を送り出すのにもっと働かなければなりません。硬化の指標として、脈波伝播速度、ならびに収縮期血圧と拡張期血圧との差が用いられます。脈波伝播速度が遅いほど、動脈が柔軟であるとみなされます。

ある新しい研究では、血清中のオメガ3系脂肪酸の値が高いほど脈波伝播速度が遅いという結果が示されています。この研究は、アイスランドの集団ベース研究におけるサブグループからデータを集めたもので、被験者は70~80歳の成人501人、そのうち46%が男性でした。研究では、試験開始時点での血漿中の各脂肪酸値を調べ、また、魚油の摂取について、有効性が確認されている食品摂取頻度調査票を用いることにより、若年期(14~19歳)、中年期(40~50歳)、老年期(66~96歳)という3種類の時点での摂取量を推定しました。測定されたオメガ3系脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)であり、被験者の追跡期間は平均5.2年でした。

結果として、血漿中のオメガ3系脂肪酸の値が高いほど、脈波伝播速度が遅いという関連が見られ、2つのオメガ3系脂肪酸を合わせた場合やDHAのみの場合と比較して、EPAのほうがその関連性が強く見られました。一方、オメガ6系脂肪酸については(その多くは高度に加工された食品から摂取したもの)、血漿中の値が高いほど、動脈壁硬化のリスクが高くなっていました。オメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸)は、魚の他に、亜麻の実、クルミ、大豆、チアシードにも含まれています。ただし、これらにはオメガ6系脂肪酸も含まれています。オメガ6は必須脂肪酸ですが、西洋式の食事の場合、工場で生産される食品に使われる高度に加工された油から過剰摂取されていることが多いのです。前号のニュースレターにも書いたとおり、α-リノレン酸は酵素によってEPAとDHAに変換されなければならないのですが、加齢や疾患によってこのプロセスが制限されることがあります。

調査票から推定した各世代区分(若年期・中年期・老年期)における魚油の摂取量に関しては、血漿値とは異なり、動脈壁硬化の測定値と何の関連も見られませんでした。これは、被験者が食事での摂取量を十分に思い出すことができなかったためかもしれません。(Reinders I, et al., Higher plasma phospholipid n-3 PUFAs, but lower n-6 PUFAs, Are associated with lower pulse wave velocity among older adults. J Nutr. 2015 Oct;145(10):2317-24.)


実践的ガイドライン

天然のサケやイワシなど、脂の多い魚を摂れば、オメガ3の油がかなり得られる可能性があります。市販のサプリメントには、EPAとDHAを様々に組み合せたものあります。ベジタリアンの場合は、亜麻の実とチアシードが、おそらく最も豊富にオメガ3の油を含む摂取源となります。私はよく、オーガニックの亜麻仁油をサラダドレッシングに使ったり、ベークドポテトにかけたり、蕎麦に少し垂らしたりしています。また、1カプセル当たり600mgのEPA/DHAが入っている魚油のサプリメントを1日に2カプセル摂っています。


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健康的な脂肪摂取が寿命を延ばす可能性

脂肪の摂取は、健康と長寿に実際に影響します。うまく選ばないと、心疾患(冠動脈性心疾患)のリスク増加につながるおそれがあります。これはもはや、西洋式と言われる食事に限った問題ではありません。西洋式の食事に見られる類の高度に加工された食品やファストフードが、今ではほとんど世界中に広まっているからです。タフツ大学フリードマン栄養科学政策校の研究グループによる新しい研究では、多価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸およびトランス脂肪酸の各摂取量と、冠動脈性心疾患による死亡リスクとの相関が明らかになっています。

この研究グループは、各国ごとの食事調査結果、食品可用性のデータ、およびトランス脂肪酸については油脂と加工食品に関する産業レポートを使用し、複数の前向き研究のメタ分析から導き出された冠動脈性心疾患死亡率ならびに2010年の「疾病による負担の国際調査」から導き出された死亡率に対して、上記の各脂肪がもたらす潜在的な影響を調べました。こうした情報により、研究グループは、冠動脈性心疾患による死亡件数について、オメガ6多価不飽和脂肪酸の摂取量が適正でない状態(過剰もしくは過小の意味であるが、主に過小摂取)が年間711,800件の増加に関連していると推定しました。飽和脂肪酸の摂取量が適正でない状態(この場合は必須脂肪酸ではないため過剰摂取)は年間250,000件の増加、トランス脂肪酸の過剰摂取は年間537,200件の増加に関連していました。(Wang Q, ET AL., Impact of nonoptimal intakes of saturated, polyunsaturated, and trans fat on global burdens of coronary heart disease. J Am Heart Assoc. 2016 Jan 20;5(1).)

分析を行った20年間で、多価不飽和脂肪酸の過小摂取による死亡件数は9%減り、一方、飽和脂肪酸の過剰摂取による死亡件数は21%減りました(過小であった多価不飽和脂肪酸の摂取量が増え、過剰であった飽和脂肪酸の摂取量が減ったことを反映しています)。しかし、トランス脂肪酸による死亡件数については、低所得国と中所得国で増加したことを受けて、4%増加しました。トランス脂肪酸は、天然に存在することはほとんどない(加工時に不飽和脂肪を人工的に飽和脂肪にする(水素添加する)ことによって生じる)ため、この結果は、加工食品がどんどん蔓延していることを示しています。

健康的な食事とは、本来、あらゆる脂肪類、とくに飽和脂肪の量がきわめて少ないものです。デニス・バーキット博士が1950年代に現地アフリカ人の食事を調べたとき、心疾患も、脳卒中も、高血圧症も、結腸ガンも、糖尿病も、ほとんどないことがわかりました。現地アフリカ人の食事は、ジャガイモ、バナナ、コーンミールおよび豆類を主食とし、脂肪はほとんど摂っていませんでした。博士は、彼らが健康である理由を、食事に食物繊維が多く含まれているためと考えましたが、こうした食事のメリットはそれだけではありません。


実践的ガイドライン

私はすべての油を避けているわけではなく、亜麻仁油とオリーブオイルを食事に取り入れています。ただ、これは、私が選ぶようにしているホールフードではなく、抽出された食品であるため、過度には使いません。調理には少量のオリーブオイルを使い、亜麻仁油はサラダドレッシングに使うことをお勧めします(亜麻仁油は栄養成分が非常に壊れやすいため、決して調理すべきではありません)。また、私はココナッツを食べるし、焼き物にココナッツオイルを多少使いますが、それは自分の食事のごく一部に過ぎません。全粒穀物と豆類には、必須脂肪酸である多価不飽和脂肪酸が多少含まれており、私は、クルミ、アーモンド、カシューナッツ、ゴマ、ヒマワリの種も食事に取り入れています。これらはすべて、多価不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。健康に良い食事選択をしていれば、どんな油であれ、健康のために追加する必要はありませんが、調理や食味のために油を多少入れたい人もいるかもれません。健康的な食事では、通常、全カロリーの15~20%を脂肪から摂り、10~20%をタンパク質から摂ります。残りのほとんどは、複合炭水化物から摂ります(ただし、砂糖や精白小麦粉などの単純炭水化物からはほとんど摂りません)。複合炭水化物には、全粒穀物、豆類、野菜、ジャガイモ、サツマイモ、根菜類などがあります。私はその他にも果物をたくさん食べてフィトケミカルと食物繊維を摂るようにしていますが、自分が食べる食品はどれも、主に趣味で選んでいます。

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ビタミンEは細胞の老化を減らす

ビタミンEは、酸化ストレスによって誘発される細胞損傷を低減する抗酸化物質として重要です。こうした酸化損傷は、老化の進行の一因となります。老化の臨床研究は、必要となる期間があまりにも長すぎ、また、きわめて費用がかかるので実施が困難です。そのため我々は、他の研究から得られた情報にもとづいて推定する必要があります。ある研究グループは、培養した内皮細胞と線維芽細胞を用いて、様々な期間にわたって様々な濃度のビタミンEで処理する試験を行いました。

この研究では、化学的検査や染色剤など、いくつかの方法を用いて、加齢細胞の数を評価しました。ビタミンEによる処理は、短期でも長期でも、加齢(老化)細胞の数に減少をもたらしました。ビタミンEの処理時間が長いほうが、短期の処理の場合より、有意に高い老化減少効果が見られました。この情報は、ビタミンEを用いた長期の処置によって老化のプロセスが遅くなる可能性を強く示唆するものであり、これは、抗酸化物質に関する他のいくつかの研究結果とも一致しています。(La Fata G, et al., Vitamin E supplementation delays cellular senescence in vitro. Biomed Res Int. 2015;2015:563247. doi: 10.1155/2015/ 563247. Epub 2015 Nov 3.)


実践的ガイドライン

食事において、ビタミンEは、ヒマワリの種やアーモンド、ホウレンソウ、スイスチャード、アボガド、ピーナッツなどに少量含まれています。しかし、臨床研究で使われているほどの量を摂るのは困難です。ビタミンEを1日200~2,000 IU摂ると、アルツハイマー病、パーキンソン病、関節リウマチ、跛行(運動時の足の痛み)、心疾患および免疫機能に効果があることがわかっています。上記の研究では合成型のビタミンE(dl-αトコフェロール)が使われましたが、私が勧めているのは、それより効果が高い天然型のビタミンE(dl-ではなくd-αトコフェロール)、ならびにβ、γ、δという他の形態のビタミンE、とくにγ-トコフェロールです。私が摂っているカプセル(1錠)は、γ-トコフェロールを多く(750mg)含むもので、それに加えてd-αトコフェロールが200 IU、βとδの混合トコフェロールが290 mg入っています。


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