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2007年01月08日

ドクターからの『毎月健康ニュース』2003年1月号

ヘルシーリビング


ドクタージャンスンから毎月届くニュースレター。
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2003年1月号ガンと闘ってくれる食品

目次
・オーガニック食品に対する米国農務省
・ガンの予防
・ガンと闘ってくれる食品
・ガンに効くサプリメント
・Dr. Jに聞く:歯周病
・最近のニュースから
・食事と病気
・ホリデー・スタッフド・パンプキン
・参考文献

読者の皆さま:オーガニック食品に対する米国農務省

消費者やオーガニック食品業界の声を取り入れて大々的に見直しが行われたオーガニック食品の基準が、やっとUSDA(米国農務省)によって導入されました。結果としては、生産者がUSDAよりも厳しい基準に準拠しようとしても、それを消費者に伝えるすべもないような制約のある新法になりました。もっとも、当初の基準がそのまま導入されていれば、下水汚泥を使った肥料、放射線を照射した食品、遺伝子組み換え食品などが認められる内容で、恥ずべきものでした。

さんざん大騒ぎして、自画自賛していても、USDAは決してオーガニック食品のサポーターではありません。そのように申し上げる理由はいくつもありますが、中でも一般の食品よりオーガニック食品の方がいいという示唆をいっさいしていない点が如実に表していると思います。そのうえ、10月24日にUSDA食品安全局長は、有機栽培した食べ物には慎重になるべきだとの発言をしているのです!

自然に育てられた食べ物には何らかのリスクがともなうものですが、USDAが一度も警告を発していない加工食品に比べれば、リスクはずっと低いのです。例えば、ホットドック。肉としてはとうてい販売できないような部位(耳やしっぽなど)、つまりは精肉加工業界の残ぱんで作られています。特に肉などの非有機食品に含まれる農薬やその他の化学物質は、テストすることも臭いをかぐこともできないため、常に油断のならない私たちに身近な危険なのです。オーガニック食品や野菜中心の食事にしましょう。

肉はたとえ汚染されていなくても(ほとんどの場合汚染されているのですが)危険があることがわかっていますが、加工の進んだ肉はさらに危険です。塩、脂肪、人工的な成分がいっぱい含まれている上、色をきれいに見せるために亜硝酸塩(エステル)が使われているからです。よく知られた発ガン性物質ですが、加熱されるともっと体に有害になります。グリルでもされようものなら、最悪です。オーガニック食品の基準を設けることを手柄にしようとする一方で批判するというUSDAのやりかたは、まるでジョージ・オーウェルが書いた「1984」のようです(1984年はもうずいぶんと前のことですが、USDAは今頃追いつこうとしているのかもしれません)。

私からのアドバイスは、USDAの言うことに耳を貸さない、ということです。そして、食べ物を衛生的に扱うように注意しましょう。野菜は食べる前に洗い、新鮮なものを選ぶように心がけましょう。お肉を食べたいのであれば、きちんと調理し、一緒に食べる野菜を汚染しないように扱うようにしましょう。まな板も清潔に保ち、野菜と肉で違うものを使うことをお勧めします。このような特別な配慮をしなくても、オーガニック食品ならリスクは低いですよ。

USDAは、特定の業界を保護しているのです。オーガニック食品などの、より衛生的で安全で健康的な食べ物に関心が高まっているときに、工業食品メーカーを保護しているのです。オーガニック食品は、食品業界でもっとも早く成長している分野です。USDAの管轄になったことは決して安心材料ではありません。


ガンの予防

ターメリックからとれるクルクミンの抗炎症作用や抗酸化作用、そして動物実験でアルツハイマーや多発性硬化症の進行を遅らせる効果について、すでに何回か取り上げました。最近の研究からは、抗ガン作用があることも示されています。

食べ物やサプリメントに含まれる成分には、ガンを予防し、進行を遅らせ、治癒する効果があり、治療に伴う副作用を抑えるものが豊富にあるので、その一部をまとめてみたいと思います。

クルクミンは動物にできた腫瘍の進行を抑えます。最近の研究では、クルクミンで2時間培養された人間の膵臓ガン細胞は、成長が止まったとしています。カレーを使った品を食事にもっと取り入れ、生、あるいは乾燥させたターメリックを料理に使うようにすれば、簡単にクルクミンをとることができます。


ガンと闘ってくれる食品

食品に含まれるフィトケミカルや抗酸化物質に抗ガン作用があるようです。すべてではありませんが、多くはフラボノイドやイソフラボンです。アブラナ科(別名ナタネ科)に属するキャベツの仲間(ブロッコリー、キャベツ、芽キャベツ、カリフラワー、コラード、ケール, チンゲンサイ, ロケットサラダ)には、スルフォラファン、フェネチルイソチアネイト(PEITC)、インドール3-カルビノールが含まれています。

このような成分が腫瘍の成長を促す酵素をブロックし、免疫力を助けるメッセンジャー分子の生成を促して、食べ物の毒素や発ガン性物質を不活性化してくれるのです。そしてガン細胞の細胞消滅(アポトーシス)も誘発します。(ここに挙げた食べ物には、葉酸やビタミンCという、いずれも肺ガン、大腸ガンなどのガンの他、心臓病も予防する成分が豊富に含まれています。)

ニンニクやタマネギの仲間には、ワケギやニラネギ、チャイブなどが含まれますが、いずれも硫化アリルという硫黄成分が含まれています。グルタチオンという抗酸化作用のある酵素を守ることなどによってガンを予防することが、ネズミを使った研究からわかっています。硫化アリルは菌から生成されるアフラトキシンという強力な発ガン性物質もブロックします。他の研究からも、ニンニクはガン細胞のアポトーシスを促すことが示されています。

フルーツにも、ガンと闘ってくれる成分がいくつも含まれています。カロテノイドには保護作用のある抗酸化物質の植物色素がいろいろとあります。αカロチン、βカロチン、リコピン、ルテイン、そしてゼアキサンチンなどです。このような植物栄養素が血液中にたくさん含まれていると、あらゆるガンの発病率、あらゆる原因による死亡率が抑えられるのです。オレンジ色、赤、黄色、緑色の植物をたっぷりとりましょう。

イチゴ、ラズベリー、リンゴ、ブドウ、パイナップル、トマト、ピーマンには、カロテノイド以上の特別なフィトケミカルが含まれています。エラグ酸、クロロゲン酸、p-クマル酸という3つの酸です。動物を使った様々な研究から、ここに挙げた食品のガンに対する効果が指摘されています。発ガン性物質が不活性化したり、作られなくなったり、あるいは細胞から発ガン性物質が運び出されたりするのです。

柑橘系のフルーツに含まれるフラボノイドや、豆類(大豆やアルファルファ、ピーナッツ)のイソフラボンもからだにいいですよ。大豆イソフラボンのゲニステイン(genistein)やダイゼイン(daidzein)は、ガン細胞が効力を発揮しないようにブロックしてくれます。また、腫瘍が成長するのに必要な(栄養成分を送る)新しい血管の形成を妨げます。ゲニステインは弱いエストロゲンですが、自分より強いエストロゲンの効果を遮断して、エストロゲンに伴う腫瘍の発病を予防します。フラックスシードや全粒粉に含まれるリグナンはフィトエストロゲンで、ガンのリスクを抑えます。動物では、乳ガンの成長と転移を減らします。

加工が進んだ食品がたくさん流通しているアメリカや他の工業国で、ガンになりにくくするために大切な食品は他にもあります。マッシュルーム、全粒粉、トウガラシ、ビート、菜っぱなどはその一例です。


ガンに効くサプリメント

今までもガンからからだを守るサプリメントを多く取り上げてきました。コエンザイム(補酵素)Q10、ビタミンE、C、β-1,3グルカン、カルシウムD-グルカレート、フラボノイド、アントシアニジン、セレン、そしてもちろん、クルクミンです。ガンの患者さんにとっても、腫瘍の成長や拡大を抑え、ガンと闘うために免疫機能を保護する上で、同じようなサプリメントが効果を発揮します。

ガンになると、手術を受け、放射線治療や化学療法などの治療を受けます。そして、医師から治療中は抗酸化作用のあるサプリメントは控えるように、としばしば言われます。まるで、サプリメントは治療の邪魔になるかの印象を与えていますが、実際はそんなことはありません。

今のところ、あらゆるエビデンスが示しているのは、どのような治療を受けているにせよ、サプリメントは保護効果がある、ということなのです。さらにサプリメントは、吐き気や下痢、抜け毛、強い疲労感といった、時にからだに大きな負担となる副作用を軽くする傾向もあります。

肺ガンの患者さんを対象にしたある研究では、抗酸化物質をはじめ、他の栄養素を高用量でとっていた人は、予想よりずっと長生きしました。それもいち早くサプリメントをスタートした人でその効果は一番大きかったのです。また、サプリメントをとっていない人よりも、他の薬剤の作用に耐えていました。

膀胱ガンの患者さんを対象とした別の研究では、サプリメントをとっていると再発率は半分になり、平均余命が倍になっています。副作用を完全になくすことはできませんし、完治の決定打でもありませんが(場合によってはその可能性はあります)、有機栽培された新鮮でヘルシーな野菜中心の食事にサプリメントを加える(サプリメントで代用するのではなく)方法は、ガン治療において重要な要素です。


Dr. Jに聞く:歯周病

Q:  つき合っている彼女が歯の病気です。どのようなサプリメントをとればいいでしょうか。既にコエンザイムQ10を30mgとっています。たばこを吸っています。 (CA、スペイン、インターネット)

A:  歯の病気、歯肉炎は、抜け歯の最大の原因となるので深刻な問題です。歯ぐきが感染し、炎症している状態が続くと、出血したり、痛みをともなったり、化膿したりします。ただ、歯肉炎はたいてい痛みをともなわず、症状がありません。たばこを吸うと、歯ぐきは弱くなります。

最新の医学的エビデンスによると、歯肉炎は心臓病や脳卒中などの慢性疾患の危険因子となるようです。炎症のせいか、口の中の細菌が他の組織に感染するせいと考えられます。あらゆる炎症は、血管の病気につながると言います。

最初にできることは、まず新鮮な野菜とフルーツ、全粒粉、豆類たっぷりのヘルシーな食事にし、フラボノイドや抗酸化物質を豊富にとることです。繊維質の多い食べ物は、噛みながら歯や歯ぐきを掃除してくれます。食後は、デンタルフロス(歯間ブラシ)や歯ブラシ(必要であれば歯磨き粉を使って)で口の中を清潔に保ちましょう。歯と歯の間をしっかりデンタルフロスでフロッシングしましょう。歯ぐきのマッサージブラシや口腔洗浄器(ジェット水流で歯と歯茎の間を洗浄するような器械)を使うのもいいでしょう。

ビタミンCやバイオフラボノイドは歯ぐきの組織を強くする働きがあり、感染から守ってくれます。私はビタミンC2000~4000mg、混合バイオフラボノイドを1000~2000mg、サプリメントでとることをお勧めします。フラボノイドは炎症を抑え、抗炎症作用があります。ここでもまたクルクミンが抗炎症作用のある物質として、また心臓を守ってくれる物質として登場します(300~600mg)。

歯肉炎の方は、抗酸化物質とコエンザイムQ10が不足しています。20年以上も前に行われた研究では、コエンザイムQ10のサプリメントを50~100mgとると、正常な歯ぐきの組織に戻ることが示されています。もっと最近の研究では、表面に塗るタイプのコエンザイムQ10が歯垢や歯肉ポケットを予防するとしています。コエンザイムQ10は心臓病の予防にもなりますが、その一因は歯ぐきを普通の状態に戻すためかもしれません。心臓病の方の一般的な容量は100~200mgです。コエンザイムQ10が歯の表面に付着するチュアブルタイプをお勧めします。

葉酸を口腔洗浄剤として使うのも、歯ぐきを治すひとつの方法です。葉酸5mgを含む液体で1分間口をすすぐだけで、4週間以内に治るでしょう。


最近のニュースから

・先月号で、肥満の増加について取り上げましたが、最新の研究で、他の危険因子がなくても肥満は動脈にダメージを与えることが示されました((De Michele, M, et al., Association of Obesity and Central Fat Distribution With Carotid Artery Wall Thickening in Middle-Aged Women. Stroke 2002, 10.1161/01)。体重が増えるごとに頚動脈壁が厚くなるという、直接的な因果関係が見られたのです。これまで肥満の人の血管系トラブルの原因と考えられてきた高血圧とは無関係でした。また、同じグループで、肥満と静脈瘤の直接的な関係が示されました。(Iannuzzi A, et al., Varicose veins of the lower limbs and venous capacitance in postmenopausal women: Relationship with obesity. J Vasc Surg 2002 Nov;36(5):965-968)

・飲み水に含まれるヒ素は、膀胱ガン、肝臓、腎臓、肺の腫瘍のリスクを大きくします。最新の研究では、ヒ素が体内にはいることで膀胱ガンがより攻撃的になると指摘されています(Moore LE, et al., Arsenic-related chromosomal alterations in bladder cancer. J Natl Cancer Inst 2002 Nov 20;94(22):1688-96)。ヒ素は、土壌や水に天然に含まれていますが、高濃度のものは産業廃棄物から出ています。ヒ素が保存料として使われている加圧処理木材からしみ出して、飲み水に混ざってくるのです。


食事と病気

・食事と血管に関する最新の研究で、食事からビタミンEをたっぷりとると、頸動脈プラークの形成を防ぐことが示されました(Iannuzzi A, et al., Dietary and circulating antioxidant vitamins in relation to carotid plaques in middle-aged women. Am J Clin Nutr 2002 Sep;76(3):582-7)。この研究では頸動脈の超音波を使い、食事からとった総ビタミンE量、血漿中のビタミンE、血液中のビタミンEとコレステロール比などがすべて、アテローム性動脈硬化性プラークの抑制につながることが示されたのです。


ホリデー・スタッフド・パンプキン

① 中くらいのカボチャのヘタの部分に、手が通るくらいの傾斜のついた穴をあけます(この部分はあとでまたフタとして使いします)。

② 種を取り除きます(洗って干して、トーストすればスナックになります)。

③ 中身を3分の1ほどくり抜きます(でも外の皮はそのままにしてください)。

④ 大麦、雑穀、または玄米2カップを炊きます。

⑤ タマネギ、ニンニク、刻んだニンジン、セロリを、タイム、マジョラム、カイエンペッパーひとつまみを加えたオリーブオイルで炒めます。隠し味程度にお醤油も加えましょう。

⑥ ④の穀物とカボチャと刻んだパセリやクルミ(お好みでレーズンやクランベリーも)を⑤に加え、軽く混ざる程度に炒め合わせます。詰め物のできあがりです。これをくり抜いたカボチャに入れ、フタをします。

⑦ 柔らかくなるまで、190℃に温めたオーブンで焼きます。

別の方法としては、小ぶりのカボチャを半分に切り、上のレシピと同じ詰め物を用意し、半分ずつ詰めて、アルミホイルでくるんで焼く方法もあります。

参考文献

オーガニック食品に対する米国農務省
・USDA: Organic Foods May Be More Contamination-Prone (Reuters) Oct 24, 2002.

がんの予防
・Natarajan C, Bright JJ, Curcumin inhibits experimental allergic encephalomyelitis ... J Immunol 2002 Jun 15;168(12):6506-13.

・Hidaka H, et al., Curcumin...impact on human pancreatic carcinoma cell growth.... Cancer 2002 Sep 15;95(6):1206-14.

・Murillo G, Mehta RG, Cruciferous vegetables and cancer prevention. Nutr Cancer 2001;41(1-2):17-28.

・Fimognari C, et al., Growth inhibition...in human...leukemia by ...sulforaphane. Carcinogenesis 2002 Apr;23(4):581-6.

・Chen DZ, et al., [I3C] and [DIM] induce apoptosis of human cervical cancer cells... J Nutr 2001 Dec;131(12):3294-302.

・Sparnins VL, et al., Effects of organosulfur compounds... garlic and onions on...neoplasia... Carcinogenesis 1988 Jan;9(1):131-4.

・Hsing AW, et al., Allium vegetables and risk of prostate cancer... J Natl Cancer Inst 2002 Nov 6;94(21):1648-51.

・Balasenthil S, et al., Garlic induces apoptosis during... carcinogenesis. Oral Oncol 2002 Jul;38(5):431-6.

・Holick CN, et al., Dietary carotenoids...and...lung cancer... Am J Epidemiol 2002 Sep 15;156(6):536-47.

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・Bennink MR, Dietary soy reduces colon carcinogenesis in human and rats. Soy and colon cancer. Adv Exp Med Biol 2001;492:11-7.

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・Jaakkola K, et al., Treatment with antioxidant...in patients with small-cell lung cancer. Anticancer Res 1992 May-Jun;12(3):599-606.

歯周病
・Hanioka T, et al., Effect of topical application of coenzyme Q10 on adult periodontitis. Mol Aspects Med 1994;15 Suppl:s241-8.
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