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2007年01月09日

ドクターからの『毎月健康ニュース』2004年12月号

ヘルシーリビング


ドクタージャンスンから毎月届くニュースレター。
話題になっている医療ニュースからビタミン療法、ヘルシーレシピまで、幅広いトピックでお送りします。
ドクタージャンスンは、サプリメントだけでなく、食生活、運動、ストレス緩和の最新の情報から、みなさんがヘルシーなライフスタイルをご自分で築いていくことを、願っています。

2004年12月号ウイルスに効くサプリメント

目次
読者の皆さま:動脈の問題の低年齢化
ワクチン接種なしでのインフルエンザ予防法
ウイルスに効くサプリメント
ビタミンDと関節炎・骨粗鬆症
Dr. Jに聞く: 前立腺とPSA
最近のニュースから
食事と病気
ソバ入り野菜スープ
参考文献

読者の皆さま:動脈の問題の低年齢化

この5年間、私は医学講義の中で、今や米国の若者に見られているアテローム性動脈硬化の初期徴候について報告してきました。1999年、研究者によって、外傷により死亡した15~34歳の被験者(男女、白人・黒人)ほぼ3,000人における動脈の検査結果について報告されました。全被験者の動脈に脂肪の沈着(動脈壁の最内層に生じる血管内膜病変と呼ばれるもの)があることが判明したのです。
15~19歳という最年少のグループでも、右冠状動脈の50%、大動脈の100%に変性があり、これらの変性(肥厚や血管隆起にいたるまで)の範囲と程度は、年齢が上がるにつれて増して最高齢の調査グループまで右肩上りで一直線に伸びていました。
現在、研究者たちは、この問題がさらに低年齢化するおそれがあり、また肥満と関係があると考えています。新しい報告によれば、6~14歳の肥満児100人について評価を行い、正常体重児47人と比較したところ、肥満児は通常体重児よりも血圧とコレステロール値が高いだけでなく、インスリン抵抗性も高い傾向がありました。とくに心配だったのは、まだ7歳の被験者に、すでに頸動脈の肥厚と動脈壁の硬直が見られたことです。動脈の肥厚と硬直は冠状動脈疾患発症がすでに発生していることを早期警告しているため、この事態は深刻に受け止めなければなりません。肥満児においては、肥満そのものが動脈損傷の原因となることもあれば、主として粗悪な食事を選び、身体を動かすことがないライフスタイルが肥満につながることもあります。
イギリスやイタリアなどの国でも肥満の発生率が急増していることから、これは世界的な問題となりつつあります。この状態が続き、さらに悪くなれば、この問題が世界中で増えていき、それに伴い、すでに見られている医療費の急増によって保健医療を賄いきれなくなることは明白です。したがって、野菜や果物、全粒穀物(穀物によっては小児期アレルギーを引き起こすので気をつけなければいけませんが)、繊維の多い食事およびオーガニック食品をもっと与えることにより子供たちに健康に良い食事の機会を与えるため、一部の学校組織で始まっている先駆け的な動きを促進することが重要です。サンフランシスコ市では、食堂に炭酸飲料とスナック菓子を置くことをやめました。ニューヨーク市や、フロリダ州・ワシントン州の各郡でも、今では、オーガニック製品と新鮮な果物を増やした健康に良い学校給食を提供しています(ワシントン州では、デザートは果物だけにしてさらに費用を抑えています)。
子供の学校給食に親が満足していない場合は、学区の担当者に連絡して、もっと健康に良い給食にするよう求めれば、変えることができるのです。これは、ジャンクフードの割合を減らすということではなくて(これも役に立つと思いますが)、全体的に良い食品を摂るようにすることを意味します。それでも子供たちはジャンクフードを欲しがると言って反対する人もいますが、子供たちの給食を改善すれば、子供たちの習慣や味覚を変えていくのに大いに役立つのです。

ワクチン接種なしでのインフルエンザ予防法

インフルエンザ・ワクチンの不足は、医療関係や経済関係のニュースだけでなく、政治関係のニュースでも広く伝えられています。私はずっと、ワクチンがあまりにも自由に投与されすぎてきたと思っていたので、ワクチン不足がインフルエンザの発生率に影響を及ぼすかどうかを興味深く観察しています(たとえ本年度の発症数が減ったとしても驚かないでしょう)。
しかし、たとえワクチンで予防できる可能性がなくなったとしても、自分がインフルエンザにかかるリスクが高いか否かにかかわらず、自分を守るためにできることはたくさんあります。我々は皆、自分自身の健康のためだけでなく、友人や家族、同僚の健康のためにも、インフルエンザにかからないよう注意すべきです。私はこれまでインフルエンザの予防接種を受けたことがありませんが、その代わり、自分で以下のような注意をしています。
最も効果的な予防法の一つは、頻繁に手を洗い、アルコール消毒薬を使用することです。これは、病院や学校、療養施設で感染の拡大を少なくするための有用な方法であることがわかっています。インフルエンザの季節には、握手を避け、やむを得ず握手した場合は手の消毒薬を使うのが賢明です。
ドアノブや受話器、共用のキーボード、共用のパーティー皿やガラス容器など、表面が細菌で汚染されているおそれがあるものには気をつけましょう。明らかに風邪を引いていたり副鼻腔感染症がある人には近づかないようにし、職場で気分が悪くなってしまったときは帰宅しましょう。さもないと、他の人に病気を移してしまうかもしれません。調子の悪い同僚がどうしても仕事に来ると言い張るのなら、自分が在宅で仕事することが可能か考えた方がよいでしょう。
また、健康的なライフスタイルの実践によって免疫力を維持することも、さらに重要となります。定期的な運動は免疫機能を高めますが、屋外で運動する場合は必ず適切な服装をしましょう。屋内で運動する場合は、共用のマシンや設備を使用したら手の消毒薬を使うことを忘れないでください。
気温の変動が何回もあったり、暖房されていて空気が乾燥している建物に出入りしたりすると、粘膜が感染しやすくなることがあります。寒い時期は、自分の周囲を加湿しておくと、粘膜が乾ききるのを予防するのに役立ちます。同時に、水分補給を保つため、必ず水分を十分に摂りましょう。
水分の摂取には、水、ソーダ水、薄めたフルーツジュース(砂糖を摂りすぎないよう、かなり薄めたもの)、スープ、ハーブティーなどを飲みます。ワインやビール、またコーヒーや紅茶などカフェインの入った飲み物は良くありません。利尿作用があるため、水分が失われるおそれがあるからです。
精白糖は抵抗力を下げるおそれがあるため、精白糖を避けた食事をするのも役立ちます。砂糖は、ウイルスと細菌に対する白血球の攻撃力を弱めるおそれがあるため、感染のリスクが高くなってしまいます。小さじ5杯分の砂糖により、白血球の働きが25%抑制され、炭酸飲料2本またはパイやアイスクリーム1個に含まれている量の砂糖を摂ると、白血球の働きが90%抑制されるおそれがあります。

ウイルスに効くサプリメント

免疫力を高め、ウイルス感染のひどさを軽減するとともに感染期間を短くするのに役立つサプリメントとしては、私はやはり最初にビタミンCを選びます。急性疾患の場合、ビタミンCの点滴が多くの患者に効きました。経口摂取の場合の標準的な用量は、2~4グラムを1日2回ですが、症状がひどい場合はさらに多く摂ります。ビタミンCはインターの生成を促進し、白血球の機能を改善し、また直接的な抗ウイルス作用があります。
ビタミンE(800 IU)、亜鉛(30 mg)およびセレン(100 μg)のサプリメントは、高齢者の感染率を低減させることがあります。エキナセアに関する最近の調査によると、ウイルスを接種したグループでは、風邪のウイルスの感染率が82%から58%に減少しました。しかし、この調査では39人しか被験者がいなかったため、有意な差であると言うことはできませんでした。子供を対象とした調査では、エキナセア、プロポリスおよびビタミンCによって感染率が55%低減したことがわかりました。より大規模な調査によると、エキナセアの標準化サプリメントにより、風邪の症状のひどさも期間も25%低減されました。
エルダーベリー・エキスは、ウイルス感染および一部の対症研究に使用されていたことがありますが、これを摂取したインフルエンザ患者は、プラセボ対照群に比べて平均4日早く回復することが最近の調査で確認されています。
ビタミンE、葉酸、ビタミンB12および乳酸桿菌を含む栄養混合物の調査では、インフルエンザの予防接種に応じた治療グループでは、ナチュラルキラー(細胞)の活動が活発になり、白血球の数が改善されたことがわかりました。
その他、インフルエンザ予防に役立つ栄養素には、ニンニク、アストラガルス、マイタケ(などのキノコ類)、βグルカン、チョウセンニンジン、エゾウコギ(シベリアニンジン)などがあります。予防接種を受けられないというだけでインフルエンザに無防備になるわけではないのです。


ビタミンDと関節炎・骨粗鬆症

いくつかの調査において、体内でのビタミンD量の不足は膝の骨粗鬆症の増加と関連があることがわかりました。221人の被験者に関する最近の報告書によると、被験者の50%が血中ビタミンDが不足していました。膝の痛み、身体機能および筋力を調べたところ、体内でのビタミンD量が少ないと、痛みや障害および筋力低下のレベルが高くなることがわかりました。
過去の調査において、筋力の低下とビタミンD量の不足との間に関連が見られており、ミネソタ州での調査では被験者の100%にこの相関関係が見られました。筋力の低下が骨粗鬆症の症状の一因となっている可能性があります。
同時に、ビタミンD量の不足は、骨粗鬆症による転倒や股関節部骨折と関連しています。ビタミンD量の不足と関係がある筋力低下も、こうした転倒の一因となっている可能性があります。
皮膚を少し日光に当てることと、サプリメントを摂ることにより、血清中のビタミンDレベルを簡単に上げることができます。高齢の方は、皮膚中でビタミンDを生成する効率が悪くなりがちであるため、日光に当たる方法は、それほど信頼性がありません。また、北半球にいる場合や、皮膚の色が濃い人の場合、ビタミンDが十分に生成されないこともあります。サプリメントの標準的な摂取量は1日当たり400~2000 IUであり、十分な血中量を維持するためには最低1000 IU必要であると考える人もいます。


Dr. J に聞く: 前立腺とPSA

Q: PSA(前立腺特異抗原)値が高くなっているのですが、前立腺を守るために何をすべきでしょうか。(米国Tコネチカット州のTLさんからEメールでのご質問)

A:PSA値が高くなった場合、前立腺ガンに関係があるものかどうか判別するため、泌尿器科の検査を受ける必要があります。PSAは、1回や2回の検査時に高くなっても後にまた正常値に戻ることもあるため、上昇が確認されるまで悪性腫瘍の診断に不可欠な、細胞組織検査や治療を待つべきです。ある報告によれば、PSAが4を超える高値の男性のうち半分が、後にもう1度検査したら正常値であったということです。
PSA値の上昇における自然変動は4~10にもなることがあり、良性の前立腺肥大や前立腺の炎症があったり、またしゃせい後にも高くなることがあるため、高値であってもすぐにガンを意味するものではなく、また、ほとんどの前立腺ガンは進行が遅いため、通常は診断結果が確定するまで待っても遅くはありません。前立腺ガンには進行がはやく攻撃力が強いもありますが(その場合は通例、PSAが急激に上昇します)、ほとんどのものはあまりにも進行が遅いので、何年も前立腺ガンを持っていながら、何か他の原因で死亡する場合が多いのです。
良性肥大に対する治療法の中には、前立腺ガンにも役立つものもあります。前立腺肥大の症状には、頻尿、尿意切迫、夜間の排尿、尿を出しにくかったり止めにくかったりする、尿の勢いが弱い、などがあります。役に立つサプリメントとしては、ソーパルメット(標準化エキスで320 mg)、ピジウム(標準エキスで100~200 mg)、ネトル(250 mg)、亜鉛(30~50 mg)、およびパンプキンシードオイルなどの必須脂肪酸があります。
主にトマトに含まれているカロテノイドのリコピン(6~10 mg)は、前立腺ガンの予防に役立ちます。高用量(10~30 mg)で摂取すると、ガンの攻撃力が低下します。大豆イソフラボン、コエンザイムQ10、ビタミンC、ビタミンE、セレン、メラトニンも予防に役立つサプリメントです。

最近のニュースから

代謝症候群には、高血圧、高血糖、高コレステロール、高インスリン、低HDL、腹部肥満が含まれます。これはインスリン抵抗性やシンドロームXとも呼ばれ、II型糖尿病および心臓病のリスク増加に関連があります。1988~1994年の6,436人を対象とした調査、および1999~2000年の1,677人を対象とした調査により、米国でこの病気が増えていることがわかりました。増加率は、男性では2.2%と少なかったのですが、女性では23.5%となっていました。(Ford ES, et al., Increasing prevalence of the metabolic syndrome among u.s. Adults. Diabetes Care. 2004 Oct;27(10):2444-9.) 体重を管理し、運動を行い、繊維の多い食事を摂ることが、またそうしなければ増加傾向にある糖尿病と心臓病を防ぐためには不可欠です。

食事と病気

葉酸を大量に摂取すると、先天性の欠損症とガンのリスクが低くなります。また、現在では、高血圧のリスクも下げると考えられています。葉酸を毎日800 μg摂った結果を毎日200 μg摂った結果と比較したところ、高血圧症のリスクが低年齢層の女性グループでは29%、高年齢層の女性グループでは13%低くなっていました。サプリメントだけによる結果を考えると、前者のグループでは48%、後者のグループでは40%低くなりました。(American Heart Assoc. Meeting Report, 10/11/2004) 葉酸は、豆類や葉野菜、全粒穀物およびサプリメントに入っています。

潰瘍性大腸炎の患者の場合、赤肉やアルコールを多く摂取するほど、再発の可能性が高くなります。191人の患者を対象とした調査では、赤肉を最も多く摂取したグループでは、再発率が3倍となり、加工肉の場合は5倍になりました。アルコールの摂取によるリスクの増加率は2.7倍でした。(Jowett SL, et al., Influence of dietary factors on the clinical course of ulcerative colitis: a prospective cohort study. Gut. 2004 Oct;53(10):1479-84)

ソバ入り野菜スープ

インフルエンザの季節には、麺の入ったスープを食べると元気が出ます。私はソバが好きです。(オーガニックブランドの蕎麦屋のものを使っています)。大型のスープ鍋で、さいの目に切ったタマネギ、つぶしたニンニク、細かく刻んだ生のトウガラシ、薄切りにしたニンジンとセロリ、すりおろしたショウガを、少量のオリーブオイルで炒めます(私は8クオート(約7.6リットル)の鍋にタマネギを2~3個、ニンニクを6片、セロリを4本、ニンジンを2本、トウガラシを1本入れます)。食べやすい大きさにした豆腐と、薄切りにしたマッシュルームを加えて軽く炒めてから、5クオート(約4.7リットル)の水を加えます。沸々と煮立ってきたら、半分に切った麺をふたつかみ入れ、約8分煮ます。火からおろす前に、ぶつ切りにした葉野菜を2束加え(ホウレンソウでも、エスカロールでも、チャードの葉でもおいしくできます)、好みに応じて醤油とリンゴ酢で調味します。仕上げにぶつ切りにした生のコリアンダーを少々加えます。少量の味噌を入れてかきまぜていただいても良いでしょう。


参考文献

動脈の問題の低年齢化

Strong JP, et al., Prevalence and extent of atherosclerosis in adolescents and young adults... JAMA 1999 Feb 24;281(8):727-35.

Iannuzzi A, et al., Increased carotid intima-media thickness and stiffness in obese children. Diabetes Care. 2004 Oct;27(10):2506-8.

インフルエンザ予防法

Anderson TW, et al., Winter illness and vitamin C: the effect of relatively low doses. Can Med Assoc J 1975 Apr 5;112(7):823-6.

Riordan HD, et al., Intravenous ascorbic acid: protocol for its application and use. P R Health Sci J. 2003 Sep;22(3):287-90.

Barringer TA, et al., Effect of a multivitamin and mineral supplement on infection .... Ann Intern Med. 2003 Mar 4;138(5):365-71.

Girodon F, et al., Effect of micronutrient supplementation on infection... a controlled trial. Ann Nutr Metab. 1997;41(2):98-107.

Sperber SJ, et al., Echinacea purpurea for prevention of experimental rhinovirus colds. Clin Infect Dis. 2004 May 15;38(10):1367-71.

Cohen HA, Effectiveness of...echinacea, propolis, and vitamin C in preventing respiratory tract infections...Arch Pediatr Adolesc Med. 2004 Mar;158(3):217-21.

Goel V, et al., Efficacy of a standardized echinacea preparation (Echinilin) for the treatment of the common cold... J Clin Pharm Ther. 2004 Feb;29(1):75-83.

Zakay-Rones Z, et al., Randomized study of the efficacy and safety of oral elderberry extract in the treatment of influenza A and B virus infections. J Int Med Res. 2004 Mar-Apr;32(2):132-40.

Bunout D, et al., Effects of a nutritional supplement on the immune response and cytokine production in free-living Chilean elderly. JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2004 Sep-Oct;28(5):348-54.

Josling P, Preventing the common cold with a garlic supplement... Adv Ther 2001 Jul-Aug;18(4):189-93.

ビタミンDと関節炎

American College of Rheumatology, Improved vitamin D levels may decrease knee disability in osteoarthritis patients. October 17, 2004.

Holick MF, Vitamin D: importance in the prevention of cancers, type 1 diabetes, heart disease, and osteoporosis. Am J Clin Nutr. 2004 Mar;79(3):362-71.

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