ドクターからの『毎月健康ニュース』2010年1月号

ドクタージャンスンから毎月届くニュースレター。
話題になっている医療ニュースからビタミン療法、ヘルシーレシピまで、幅広いトピックでお送りします。
ドクタージャンスンは、サプリメントだけでなく、食生活、運動、ストレス緩和の最新の情報から、みなさんがヘルシーなライフスタイルをご自分で築いていくことを、願っています。
2010年1月号女性を対象とした最新研究情報など
今月の話題:
トランス脂肪によって増える突然死
大豆摂取による乳ガン生存率の改善
大豆は婦人科系のガンのリスクを減少
フィトエストロゲンはガンのリスクとならず
運動によるテロメアへの効果と加齢の減速
ビタミンB6によって減る心臓発作
トランス脂肪によって増える突然死
トランス脂肪の摂取量が多いほど、女性における突然死のリスクが増加するという関連が見られています(おそらく男性でもそうでしょうが、この研究は女性のみを対象としたものでした)。看護師保健調査の対象女性86,762人におけるトランス脂肪摂取量と心臓性突然死の前向き分析にて、1980年から26年間にわたり、被験者の追跡調査が行われました。(Chiuve SE, et al., Intake of total trans, trans-18:1, and trans-18:2 fatty acids and risk of sudden cardiac death in women. Am Heart J. 2009 Nov;158(5):761-7.)
以前に心疾患と診断されたことがあった女性のグループでは、グループ全体としての明白な関連は見られませんでしたが、トランス脂肪の摂取量が最も多かったグループでは、摂取量が最も少なかったグループと比較して、突然死のリスクが3倍になっていました。グループ全体としてのリスク増加率は28%でしたが、これは統計的に有意な率ではありませんでした。
トランス脂肪は、ショートニングやマーガリンを作るために多価不飽和油に水素添加したときに生成されるものです。加工されていない自然食品には事実上、存在していませんが、アメリカの食糧供給には大量のファストフード脂肪が含まれているため、すでに食生活に侵入しています。幸いにも、こうした食品中のトランス脂肪はだんだん減らされています(とはいえ、全体的な脂肪量が多すぎる、塩分が多すぎる、カロリーが高すぎる、人工の原料が多く含まれているなど、多くの理由で不健康であることに変わりありません)。
大豆摂取による乳ガン生存率の改善
大豆食品の摂取は危険かもしれないという噂が多くあります。これについては、科学文献による裏付けは全くありません。大豆食品(豆腐、テンペ、豆乳など。高度に加工され、テクスチャライズ(特定の食感を与える加工)をした大豆タンパクは含まれない)には、多くの健康効果があります。このことは、実際に大豆食品を摂っている国民では種々の疾患の罹患率が低いことからも明白です。最近のいくつかの研究により、こうした効果の一部が確認されています。
その1つである上海の乳ガン生存率研究の報告によると、20~75歳の元乳ガン患者5,042人について、2009年6月まで追跡調査が行われました。1.5年後、3年後および5年後の各時点で被験者の評価が行われ、平均追跡期間は3.9年でした。(Shu XO, et al., Soy food intake and breast cancer survival. JAMA. 2009 Dec 9;302(22):2437-43.)
この研究グループは、食事に含まれる大豆タンパク量または大豆イソフラボン量のいずれかを測定して、各自の大豆食品摂取量を評価し、乳ガン再発または死亡との関連付けを行いました。大豆の摂取量が最も多かったグループでは、最も摂取量が低かったグループと比較して、死亡のリスクが29%、乳ガン再発のリスクが32%低くなっていました。こうした効果は、エストロゲン受容体陽性腫瘍の場合にも、エストロゲン受容体陰性腫瘍の場合にも見られ、また、タモキシフェンの使用の有無にかかわらず見られました。この母集団は比較的同質であったため、上記の結果を遺伝によるものと考えることはできません。
大豆は婦人科系のガンのリスクを減少
ある研究グループが、大豆摂取量と卵巣ガン・子宮内膜ガンとの関連付けを行っている各研究(患者対照研究とコホート研究を含む)のメタ分析を行いました。このメタ分析には、その対象として含めるための基準を満たしている7本の研究が含まれました。(Myung SK, et al., Soy intake and risk of endocrine-related gynaecological cancer: a meta-analysis. BJOG. 2009 Dec;116(13):1697-705.)
このすべての研究の結果を組み合わせたところ、大豆摂取量が最も多かった女性グループでは、大豆摂取量が最も少なかったグループと比較して、子宮内膜ガンのリスクが30%低くなっていました。卵巣ガンについては、48%のリスク低下が見られました。
確かに、メタ分析は、利用できるデータの質と量による制限があり、前向き研究でも介入研究でもありませんが、他の研究にて見られた結果や、その結果に関する生化学的および生理学的な根拠を実際に確認できます。
フィトエストロゲンはガンのリスクとならず
食事では多くのものからフィトエストロゲンを摂ることができ、大豆食品もその一つです。その他に、野菜、果物、ナッツ類、種子類、穀物からも摂ることができます。大豆に含まれるフィトエストロゲンの摂取源には、イソフラボン、ゲニステイン、ダイゼインなどがあります。その他の主要なフィトエストロゲン摂取源として、種子類、とくに亜麻の実に含まれているリグナンがあります。フィトエストロゲンは、一部のエストロゲン様効果をもたらすため、ホルモン補充療法(馬由来のエストロゲンを用いたもの)に関連付けられている問題を同様にもたらしかねないと誤解している人もいます。
実際のところ、植物由来のエストロゲンは、もっと強力なエストロゲンによる潜在的な有害性を軽減するようです。英国での新しい研究によると、フィトエストロゲンを大量に摂取しても、エストロゲン様効果は弱いため、これまで示唆されてきたとおり、乳ガン、結腸直腸ガン、前立腺ガンのリスクに有意な影響はないということです。(Ward HA, Breast, colorectal, and prostate cancer risk in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition-Norfolk in relation to phytoestrogen intake derived from an improved database. Am J Clin Nutr. [印刷に先行した電子出版])
この研究の対象者である成人25,000人において唯一見られた有意な関連は、(穀物からの)エンテロラクトンおよび(亜麻の実などの種子類からの)エンテロリグナンの摂取量の増加に伴う、女性グループにおける結腸直腸ガンのリスク低下との関連であり、エンテロラクトンとエンテロリグナンのいずれによっても、80%近いリスク低下が見られました。
運動によるテロメアへの効果と加齢の減速
テロメアは、染色体の「エンドキャップ(末端の栓)」の役割をしているDNA分子であり、細胞分裂時に染色体が完全な状態を維持できるよう保護するものです。テロメアは、「靴ひもの両端のほつれを防ぐプラスチック部品」のようなものと説明されています。染色体の分裂につれて、テロメアはどんどん短くなり、最終的には細胞分裂のプロセスに不具合が生じて、筋力の低下、皮膚のしわ、視力や聴力の低下など、多くの老化兆候を引き起こします。また、慢性的変性疾患の原因ともなります。
テロメアの劣化を防ぐのは、テロメラーゼと呼ばれる酵素です。テロメラーゼは、染色体DNAの末端に遺伝子配列を付け加えて、テロメアの長さを維持します。テロメラーゼの活性が低下すると、加齢による上記の障害の他に、心疾患のリスクが増加し、心リスク要因が増大するという関係が見られています。肥満やインスリン抵抗性があると、テロメラーゼの活性が低下するため、心疾患リスク増加の一因となるようです。
最近行われたいくつかの研究に、運動と生活習慣によるテロメアの保護効果が示されています。ある研究によれば、定期的に持久運動をするとテロメア長の維持に役立つということです。この研究では、32人の若年スポーツマンと、25人の高齢スポーツマンの白血球を調べ、ほとんど運動をしない年齢適合対照グループの白血球と比較しました。(Werner C, et al., Abstract 1380: Beneficial Effects of Long-term Endurance Exercise on Leukocyte Telomere Biology. Circulation. 2009;120:S492.)
どちらのスポーツマン・グループも、テロメラーゼの活性は大幅に高くなっていました。高齢スポーツマンのグループでは、あまり動かない被験者グループよりも、テロメア長が80%以上長くなっていました。一方、若年スポーツマンのグループでは、若年対照グループと比較して、テロメラーゼの活性は高かったものの、テロメア長は変わりませんでした(テロメアは年齢とともに短くなるので、若年対照グループでは運動をしていない場合でもテロメア長は正常なのです)。加齢により、こうしたメリットはなくなります。
ある関連研究では、ケージに回し車を入れたマウスのグループと、回し車を与えなかった対照グループについて、3週間後に白血球と大動脈壁細胞を調べました。(Werner C, et al., Physical exercise prevents cellular senescence in circulating leukocytes and in the vessel wall. Circulation. 2009 Dec 15;120(24): 2438-47.)
運動用の回し車を与えたマウスのグループでは、大動脈壁細胞と白血球の両方で、テロメラーゼの活性が高くなっていました。また、運動をしていたマウスは、対照グループと比較して、大動脈細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)が少なく、運動によるストレスからテロメアと細胞の両方を保護するのに役立つ酵素とタンパク質の活性が高くなっていました。
以前の研究では、総合的な生活習慣の改善がテロメアの保護と病気の予防に役立つことがわかっています。この研究グループによると、テロメアの短縮は、心疾患だけでなく多種のガンによる早死にと関連があるということです。このグループは、生検で前立腺ガンと診断された男性30人の評価を行い、適度な有酸素運動、食事、ストレス解消、ならびにサプリメントの摂取を含めた総合的な生活習慣プログラムを実践させました。(Ornish D, et al., Increased telomerase activity and comprehensive lifestyle changes: a pilot study. Lancet Oncol. 2008 Nov;9(11):1048-57.)
3カ月以内に、白血球中のテロメラーゼの活性が25%以上高くなりました。このプログラムには、30分のウォーキングおよび1時間のリラクゼーションを週6日行い、野菜、果物、全粒穀物、豆類を中心とした低脂肪食を摂り、豆腐を毎日1皿と、魚油、ビタミンC、ビタミンE、セレンのサプリメントを3g摂ることが含まれていました。これは、生活習慣の選択肢により、慢性疾患と加齢に大きな影響をもたらすことができることを示しています。
ビタミンB6によって減る心臓発作
ピリドキシンは、食事に含まれるビタミンB6の主な型であり、体内では、ピリドキサ-ル5-リン酸(P5P)に変換されます。血漿中のP5P値が高いと、女性における心臓発作のリスクが低くなるという関連が見られています。ある研究グループは、32,826人の女性から血液を採取し、P5P値を測定しました。(Page JH, et al., Plasma vitamin B(6) and risk of myocardial infarction in women. Circulation. 2009 Aug 25;120(8):649-55.)
9年間で、そのうち239人が心臓発作を起こし、死に至った場合も、至らなかった場合もありました。この被験者グループを、年齢、喫煙状態などの関連パラメータによって対照グループと対応させたところ、血漿P5P値が最も高かったグループでは、血漿P5P値が最も低かったグループと比較して、心臓発作が78%少なくなっていました。血漿P5P値は、食事、吸収率、代謝率および排泄率によって左右されます(ストレスは排泄を増やします)。
週間売り上げランキング
送料全国一律525円 3,150円(税込)以上送料無料