ドクターからの『毎月健康ニュース』2009年11月号

ヘルシーリビング


ドクタージャンスンから毎月届くニュースレター。
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ドクタージャンスンは、サプリメントだけでなく、食生活、運動、ストレス緩和の最新の情報から、みなさんがヘルシーなライフスタイルをご自分で築いていくことを、願っています。

2009年11月号カフェイン、食物繊維、果物など

今月の話題:
心房細動に関する食事とカフェインの影響
過敏性腸症候群に効く水溶性食物繊維
果物からさらに得られる健康効果
ビタミンDによる健康効果の続報
地中海式食事法はうつ病に効果的
大豆食品は股関節部の骨折を低減
魚類、貝類と糖尿病リスクとの関係



       
心房細動に関する食事とカフェインの影響

欧州心臓病学会からの報告によると、食事でカフェインを多く摂っていると心房細動を発症する可能性が高くなるそうです。心房細動とは、息切れ、動悸および倦怠感を引き起こすことがある不整脈の一種であり、治療しないと、脳卒中のリスクが高まる可能性があります。この研究の被験者では、赤身肉および乳製品の摂取量が多いほど、心房細動を生じる可能性が高くなることがわかりました。地中海式食事法に近い食事を実践している人ほど、心房細動を発症する可能性が低くなっていました。
コーヒー、コーラ、茶およびココアからのカフェイン摂取量が多いグループほど、心房細動の発症リスクが高くなっていました。カフェイン摂取量が多いグループの中でも、地中海式食事法に近い食事を実践している人々のほうが、リスクの増加率が低くなっていました。地中海式食事法では、赤身肉や獣肉製品は稀にしか摂らず、乳製品も少量しか摂りません。
この研究グループは、コーヒーまたはその同等物の摂取量を、1日1杯であれば少量、1日2~3杯であれば中程度、1日3杯以上の場合に多量とみなしました。(Mattioli, AV, High caffeine intake can lead to arrhythmias. Press Release, ESC Congress 2009, August 30, 2009)


過敏性腸症候群に効く水溶性食物繊維

過敏性腸症候群とは、ガス、膨満感、下痢便秘交代症、および腹痛または腹部不快感を含む症状の集まりです。(上記の症状は炎症性腸疾患に似ていますが、過敏性腸症候群には炎症も出血も伴いません。)これまで、一般的に推奨されている食事として、食事では食物繊維性食品を摂らないように言われてきました。しかし、それでは、新鮮な果物も野菜も、全粒穀物も摂ることができない質の低い食事内容になってしまいます。
私の経験では、食事で自然食品を摂ることにより、過敏性腸症候群の症状が軽減されます。新しい研究によると、ふすま(不溶性繊維)を摂っても統計的に有意ではない軽微な症状の改善しか見られませんでしたが、水溶性繊維(この研究ではオオバコの種子粉末)を摂った場合には、症状スコアに90ポイントの低下が見られました。(Bijkerk CJ, et al., Soluble or insoluble fibre in irritable bowel syndrome in primary care? Randomised placebo controlled trial. BMJ. 2009 Aug 27;339:b3154. doi: 10.1136/bmj.b3154.)
水溶性繊維は、健康に良い様々な自然食品に含まれており、こうした食品には、豆類、オートムギ、オオムギ、オオバコの種子、亜麻の実、ナス、オクラ、ジャガイモ、サツマイモ、ニンジン、ブロッコリーをはじめ、バナナ、ベリー類、リンゴ、西洋ナシ(皮を除く)などの果物があります。食物繊維は、消化も代謝もされないため、食品の中では軽視されることが多いのですが、重要な食事の成分なのです。
上記の研究では、18~65歳の患者275人を3つのグループ(水溶性繊維のグループ、不溶性繊維のグループ、プラセボのグループ)に分け、1日2回、粉末サプリメントを投与する処置を12週間行いました。毎月末に患者の評価を行って重症度スコアを調べました。


果物からさらに得られる健康効果

果物と野菜には、よく知られている多くの効果があり、慢性的変性疾患を予防することが明らかなフラボノイドやポリフェノールなどの抗酸化物質をはじめとする様々なフィトケミカルが豊富に含まれています。新しい研究により、こうした有益物質の量が、これまでの分析方法では著しく過小評価されていたことがわかりました。
新しい方法では、リンゴ、モモおよびネクタリンには、思っていた量の最大5倍のポリフェノールが含まれていることがわかりました。これには、カテキン、プロアントシアニジンおよびエラグ酸が含まれます。こうした果物の細胞壁は簡単には壊れないため、これまでの研究では、総量ではなく、容易に「抽出できるポリフェノール」の量しか評価していませんでした。
しかし、(消化液に含まれているような)酸で処理したところ、この細胞壁から有益な化学物質がはるかに多く利用されました。(Arranz S, et al., High Contents of Nonextractable Polyphenols in Fruits Suggest That Polyphenol Contents of Plant Foods Have Been Underestimated. J Agric Food Chem. 2009 Jul 28. [印刷に先行した電子出版])
自然食品を摂ることは重要であり、場合によっては、食品を軽く調理することにより、細胞壁に蓄えられているフィトケミカルの放出量を増やすようにすれば、さらなる効果が得られます(たとえば、ニンジンに含まれているカロテノイドには、この方法が当てはまります)。しかしながら、こうした食品の多くは、消化すればすべての栄養分が利用されるはずです。


ビタミンDによる健康効果の続報

ビタミンD濃度が低いことと、いくつかの疾患の発症リスクの増加には関連が見られています。ベースラインにて血管疾患がなかった30歳を超える成人6,219人について26年間追跡したフィンランドでの研究によると、血清中ビタミンD濃度が最も高かった被験者グループは、ビタミンD濃度が最も低かったグループと比較して、脳卒中による死亡リスクが著しく低くなっていました。(Kilkkinen A, et al., Vitamin D status and the risk of cardiovascular disease death. Am J Epidemiol. 2009 Oct 15;170(8):1032-9.)
他の研究により、ビタミンDは心疾患にも効果があることがわかっていますが、上記の研究では、心疾患による死亡率の低下との関連性は低く、統計的に有意なものではありませんでした。この研究の被験者はほとんど、ビタミンD濃度が比較的低かったことにも注意すべきです。最近のエビデンスによると、加工型であるビタミンD2(紫外線照射エルゴステロール)ではなく、天然型であるビタミンD3(コレカルシフェロール)をサプリメントで1,000~5,000 IUもしくはさらに多く摂ると効果が得られるようです。
別の研究では、ビタミンD濃度が高いほど、皮膚ガンのうち最も致死性が高い黒色腫に効果があることがわかっています。黒色腫患者を対象とした前向き研究では、血中ビタミンD濃度が高かったグループのほうが、皮膚腫瘍の平均厚さが小さく、無再発生存率が20%高くなっていました。(Newton-Bishop JA, Serum 25-Hydroxyvitamin D3 Levels Are Associated With Breslow Thickness at Presentation and Survival From Melanoma. J Clin Oncol. 2009 Sep 21. [印刷に先行した電子出版])


地中海式食事法はうつ病に効果的

地中海式食事法に最も近い食生活を実践すると、うつ病に効く可能性があります。10,094人の健康な被験者を対象としたスペインの研究では、研究グループが食品摂取頻度アンケートを用いて、地中海式食事法の実践度を評価しました。地中海式食事法は、野菜、果物、ナッツ類、穀物、豆類、魚類を多く含むもので、獣肉、獣肉製品、全脂肪乳製品はきわめて少量しか含まれていません。
4.4年の追跡期間後、地中海式食事法を最も厳密に実践していたグループは、地中海式食事法を実践していなかったグループと比較して、うつ病の発症リスクが約半分になっていました。(Sánchez-Villegas A, et al., Association of the Mediterranean dietary pattern with the incidence of depression: the Seguimiento Universidad de Navarra/University of Navarra follow-up (SUN) cohort. Arch Gen Psychiatry. 2009 Oct;66(10):1090-8.)
この研究では、とくに果物、ナッツ類および豆類に効果があることがわかりました。また、飽和脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸の摂取比率が高い(オリーブオイルの摂取量が多く、動物性脂肪の摂取量が少ない)グループほど、リスクが低くなっていました。


大豆食品は股関節部の骨折を低減

閉経後の女性の場合、食事における大豆食品の摂取量が多いほど、股関節部の骨折リスクが低くなるようです。ある研究グループが、男女63,257人について8~13年間追跡を行い、大豆(研究グループが「豆腐同等物」と呼んでいたもの)の摂取量別に4つのグループに振り分けました。被験者の年齢は、この研究に登録した時点で45~74歳でした。
大豆摂取量が最低であった女性グループは、股関節部の骨折リスクが最も高くなっていましたが、摂取量が最高であったグループでは、骨折の発生率が21~36%低くなっていました。こうした効果は男性には見られませんでした(男性は一般的に同年代の女性より骨密度が高いのです)。(Koh WP, et al., Gender-specific associations between soy and risk of hip fracture in the Singapore Chinese Health Study. Am J Epidemiol. 2009 Oct 1;170(7):901-9.)
この研究にて効果が見られた豆腐(または大豆加工品)の量は、1日当たり平均約2オンス(57グラム)以上でした。これは、西洋諸国での摂取量をはるかに上回っています。西洋諸国では、大豆の摂取源として、「テクスチャライズ(特定の食感を与える加工)をした植物性タンパク質」のほうが多い傾向があります。こうしたタンパク質は、あまりに高度に加工され不純物が混ぜられているため、健康を促進するとは思えません。


魚類、貝類と糖尿病リスクとの関係

イギリスでの新しい研究によると、魚類を食べることにより、2型糖尿病の発症リスクが低くなるようです。しかし、貝類を食べても、こうした効果はないようです。この研究グループは、40~79歳の男女21,984人について1993~1997年の研究登録時に評価を行い、10年間追跡しました。(Patel PS, et al., Association Between Type of Dietary Fish and Seafood Intake and the Risk of Incident Type 2 Diabetes The European Prospective Investigation of Cancer (EPIC)-Norfolk cohort study. Diabetes Care 2009 Oct; 32(10):1857-1863.)
白身魚(タラ、コダラ、ヒラメなど)または脂の多い魚(イワシ、サケ、サバなど)を週に1皿(サービング)以上食べていたグループでは、糖尿病のリスクが25%低くなっていました。しかし、油で揚げた魚を摂っていたグループでは、魚の種類に関わらず、糖尿病のリスクは低下していませんでした。魚類の摂取量と糖尿病に関する以前の研究(看護師保健調査など)では、今回の研究で見られた効果は示されていません。
貝類を食べると逆効果のようであり、糖尿病のリスクが35%高くなっていました。このことは、貝類と明確な関係があるのかどうかはわかりません。貝類を食べるとき、フライにしたり、バターをたっぷり入れたり、マヨネーズタイプのソースを付けたりすることが多いので、正しいデータが得られなかった可能性もあります。ただし、貝類には食事性コレステロールが多く含まれており、食事性コレステロール自体には、2型糖尿病のリスク増加との関連が見られています。






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