ドクターからの『毎月健康ニュース』2009年10月号

ドクタージャンスンから毎月届くニュースレター。
話題になっている医療ニュースからビタミン療法、ヘルシーレシピまで、幅広いトピックでお送りします。
ドクタージャンスンは、サプリメントだけでなく、食生活、運動、ストレス緩和の最新の情報から、みなさんがヘルシーなライフスタイルをご自分で築いていくことを、願っています。
2009年10月号減塩、全流穀物、運動の効果
今月の話題:
減塩による健康維持
全粒穀物による減量効果
全粒穀物による高血圧症のリスク低下
コエンザイムQ10による皮膚の保護
鉛による心疾患の増加
運動による前立腺ガンのリスク低下
脳を使う余暇活動による認知症の低減
減塩による健康維持
最近ある研究グループが、米国の食事における塩分摂取量の低減によって見込める医療費の削減額を計算しました。この研究では、高血圧症と心疾患の減少、ならびにその治療に使われる薬剤費の低減による節減額に基づいて結論が出されています。
人間に必要な塩分は1日当たり約500~1,000 mgですが、米国における1日の平均摂取量は3,500~5,000 mgとなっています。米国政府は、塩分摂取量を2,300 mgに制限するよう勧告していますが、他の国の指針では、たった1,600 mgに抑えるよう勧めています(暑い気候のときに運動して、たくさん汗をかかないかぎり、これでも大目に見た数値です)。
この新しい研究では、ナトリウムの摂取量を1日当たり2,300 mgに減らせば、高血圧症患者が1,100万人減り、医療費を180億ドル削減できると予測しています。また、「質調整生存年数」も312,000年伸びると予測され、これは年間320億ドルに値します。(Palar K, Sturm R, Potential societal savings from reduced sodium consumption in the U.S. adult population. Am J Health Promot. 2009 Sep-Oct;24(1):49-57.) さらに、もっと健康的なレベルまで塩分を減らせば、さらに多くの効果が得られると思われます。
すぐに入手できるデータを利用したこの種の研究では、脳卒中および心発作による個人や家族、友人への感情的負担について説明することができません(誰かが脳卒中を起こした後、車椅子を押さなければならない状況を想像してください)。こうした研究ができることといえば、医療費の経済的負担がライフスタイルの選択肢に強く関連していることを理解しやすくすることであり、健康保険が使えなくなる危機については、運動量を増やす、食事内容を改善する(塩分・砂糖・脂肪の摂取量を減らす)、喫煙量を減らす、基本的なサプリメントをいくつか摂るというような健康習慣を促す刺激策を実施すれば、容易に対処できると思われます。
全粒穀物による減量効果
全粒穀物の摂取量を増やすと、成人における減量、体格指数(BMI)の低下、および腹部脂肪の減少に役立つようです。ある研究グループが60~80歳の男女434人の評価を行い、この研究では、126項目から成る食品摂取頻度アンケート(食物摂取頻度調査)を用いて、全粒穀物、精製穀物および繊維の摂取量を評価し、各摂取量を様々な体脂肪測定値と比較しました。(McKeown NM, et al., Whole-grain intake and cereal fiber are associated with lower abdominal adiposity in older adults. J Nutr. 2009 Oct;139(10):1950-5)
その結果、全粒穀物の摂取量は、BMI、体脂肪率および脂肪量と反比例していることがわかりました。全粒穀物の摂取量が多かったグループでは、BMIが平均2ポイント低く、体脂肪は3%、腹部脂肪量は5%少なくなっていました。研究の対象とした全粒穀物には、全粒小麦パン、玄米、ポップコーンなどが含まれていました。
残念ながら、全粒穀物の摂取量が比較的多かったグループでも、1日当たりわずか1.5皿(サービング)という理想摂取量に達しておらず、1日当たりの平均食物繊維摂取量は、果物と野菜からの摂取量を含め、わずか18グラムでした。デニス・バーキットが1950年代と1960年代にアフリカで現地の食事について研究したとき、現地人は1日当たり約100グラムの食物繊維を摂っていたのですが、現在の米国の指針による推奨量は、1日当たり25グラムに過ぎません(それでも、10グラムという平均摂取量をはるかに上回っています)。
バーキットによる研究の被験者は、主要食物として、ジャガイモ、バナナ、コーンミール、豆類などを摂っていて、高血圧症、糖尿病、心疾患、結腸ガン、憩室炎、虫垂炎、静脈瘤、痔核はほとんど見られませんでした。バーキットはその理由を、食事で食物繊維を摂っているためと考えましたが、果物と野菜を大量に摂っていることも、答の一つとなっているかもしれません。
全粒穀物による高血圧症のリスク低下
別の研究では、全粒穀物にさらなる効果があることを示しています。この研究は、医療従事者追跡研究に参加者した男性31,684人を18年間追跡したもので、その期間中に9,227人が高血圧症になりました。全粒穀物の摂取量が最も多かったグループでは、摂取量が最も少なかったグループと比較して、高血圧になるリスクが20%低くなっていました。(Flint AJ, et al., Whole grains and incident hypertension in men. Am J Clin Nutr. 2009 Sep;90(3):493-8.)
なお、ふすまの総摂取量が最も多かったグループは、最も少なかったグループと比較して、高血圧症のリスクが15%低くなっていました。この数値の差は、ふすま(ふすまフレークなど)を別に摂っている人は穀物全体を摂っている人ほどの効果が得られないということかもしれません。というのは、穀物に含まれている他の栄養素(脂肪酸、ビタミン、ミネラル、フラボノイド)によって、上記の効果のかなりの部分を説明することができるからです。
コエンザイムQ10による皮膚の保護
コエンザイムQ10は、抗酸化作用があり、細胞のエネルギー産生を促すだけでなく、加齢の影響から皮膚細胞を保護することが実験研究によりわかっています。皮膚の外層(表皮)と中間層(真皮)から取った細胞にコエンザイムQ10を施したところ、結合組織細胞(線維芽細胞)の増殖が促進されましたが、角化細胞(外側を強くして保護する細胞)の増殖は促進されませんでした。(Muta-Takada K, et al., Coenzyme Q(10) protects against oxidative stress-induced cell death and enhances the synthesis of basement membrane components in dermal and epidermal cells. Biofactors. 2009 Sep 14. [印刷に先行した電子出版])
コエンザイムQ10を施すことにより、細胞膜成分の生成も促進されました。また、組織培養にてコエンザイムQ10による前処理を行ったところ、いくつかの酸化ストレスによって誘発される細胞死が予防されました。このことから、十分な量のコエンザイムQ10を摂り、皮膚細胞に十分行き渡った状態を保つことが重要であることがわかります。最も吸収を良くするため、私はユビキノール型のコエンザイムQ10を勧めています。
鉛による心疾患の増加
体内の鉛濃度が高いと、心疾患などの原因で死亡するリスクが高くなることが、新しい研究によって確認されています。鉛の曝露量は、血液中の鉛濃度によって測定されることが多いのですが、鉛はかなり速く血液中から消え、組織、とくに骨、脳および肝臓に堆積するため、それだけでは不十分です。一方、この研究では、蛍光X線を用いた非侵襲的な方法で、血液中だけでなく、膝蓋骨中および脛骨中の鉛濃度を調べました。
この研究グループは、868人の男性について平均9年間追跡しました。骨中の鉛濃度が最も高かったグループでは、骨中濃度が最も低かったグループと比較して、原因を問わない死亡の可能性が2.5倍、心疾患による死亡の可能性が5.6倍高くなっていました。血中濃度には相関が見られなかったため、信頼できるリスク指標とはなりません。(Weisskopf MG, et al., A prospective study of bone lead concentration and death from all causes, cardiovascular diseases, and cancer in the Department of Veterans Affairs Normative Aging Study. Circulation. 2009 Sep 22;120(12):1056-64.)
他のリスクについて調整したところ、骨中の鉛濃度が最も高かったグループでは、組織内の鉛濃度が最も低かったグループと比較して、心血管系の死亡リスクが8.4倍高くなっていました。こうしたデータから、鉛への累積曝露は重大なリスク因子であることがわかります。鉛などの重金属を除去するキレーション療法が血管疾患に効果があるのは、こうした理由にもよると考えられます。
運動による前立腺ガンのリスク低下
運動することにより、前立腺ガンのリスクが低下するようです。また、前立腺ガンになった人の中でも、運動している人のほうが、腫瘍の侵襲性が低いようです。ある研究グループが前立腺生検を受けた男性190人の評価を行い、各自の運動習慣について分析しました。(Antonelli JA, et al., Exercise and Prostate Cancer Risk in a Cohort of Veterans Undergoing Prostate Needle Biopsy. J Urol. 2009 Sep 14. [出版に先行した電子出版])
運動量が最も多かった(1週間当たり9メッツMets以上であった)グループでは、生検の時点でのガンのリスクが3分の1に過ぎませんでした。生検の時点でガンがあったグループの中でも、中程度の運動をしていると回答した(1週間当たり3~8.9メッツMets)グループの腫瘍は、侵襲性がかなり低いものでした。
メッツ(Mets)は、身体活動度の強さの測定単位であり、たとえば、ウォーキング、ハイキング、ヨガ、体操など、中程度の運動は、3~6 メッツ(Mets)に相当します。ジョギング、ローラースケート、時速10マイル(約16 km)以上の速度でのサイクリング、動きの激しいエアロビックダンスなど、活発な運動は、6 メッツ(Mets)以上となります。こうした高度な運動では、1分当たり7カロリーも燃焼することができます。
脳を使う余暇活動による認知症の低減
65歳以上の被験者5,698人を対象とした研究にて、脳を刺激する余暇活動により、アルツハイマー型認知症のリスクが低下することがわかりました。効果があることがわかった活動には、クロスワードパズルやカードゲーム、芸術的活動、観劇、組織的活動などがありました。(Akbaraly TN, et al., Leisure activities and the risk of dementia in the elderly: results from the Three-City Study. Neurology. 2009 Sep 15;73(11):854-61.)
血管疾患、抑うつ症、体力低下など、他の潜在的なリスクについて調整したところ、こうした余暇活動によってもたらされる認知的な刺激により、認知症のリスクが半分になったようです。認知的な刺激がなかった他の余暇活動には、リスク低下との関連が見られませんでした。私は(他にも多くの認知的活動や食事対策、運動をしていますが、とくに)ニュースレターを書くことで、予防できることを期待しています(すでに手遅れでなければ!)。
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