ドクターからの『毎月健康ニュース』2009年9月号

ヘルシーリビング


ドクタージャンスンから毎月届くニュースレター。
話題になっている医療ニュースからビタミン療法、ヘルシーレシピまで、幅広いトピックでお送りします。
ドクタージャンスンは、サプリメントだけでなく、食生活、運動、ストレス緩和の最新の情報から、みなさんがヘルシーなライフスタイルをご自分で築いていくことを、願っています。

2009年9月号緑茶の最新研究より

今月の話題:
緑茶と前立腺ガンとの関係
緑茶と肺ガンとの関係
緑茶による白血病の治療効果
動物性脂肪による膵臓ガンの増加
γ-リノレン酸によるアトピー性皮膚炎への効果
軽負荷な運動による死亡率の低下


       
緑茶と前立腺ガンとの関係

最近の記事で、緑茶にはガンの予防と治療の両方に効果があることを示したものがいくつかあります。緑茶は、世界中、とくにアジアで広く飲まれています。発祥地は中国で、紅茶と違い(紅茶にも健康効果はありますが)、加工時の酸化が最小限に抑えられています(茶葉はどちらも、カメリア・シネンシスという植物から取ります)。茶には、健康に良いポリフェノールが多数含まれており、その一つであるカテキンの最も有名なものは、エピガロカテキン・ガレート(EGCG)です。これには、栄養になるその他の抗酸化物質とミネラルも少量含まれています。
緑茶の標準エキスにはEGCGが濃縮されており、カプセルの形で摂ることができます。(これは、普通の緑茶に入っているカフェインを摂らずに効果を得る一つの方法ですが、カフェイン抜きの緑茶も売られています。)最近の研究では、前立腺生検陽性で前立腺根治手術を受ける予定の男性26人に、1日当たり800 mgのEGCGを(別の種類のカテキンと併せて)12日~73日間与える試験が行われました。(McLarty J, et al., Tea polyphenols decrease serum levels of prostate-specific antigen, hepatocyte growth factor, and vascular endothelial growth factor in prostate cancer patients and inhibit production of hepatocyte growth factor and vascular endothelial growth factor in vitro. Cancer Prev Res (Phila Pa). 2009 Jul;2(7):673-82.)
手術までに、被験者には、前立腺特異抗原(PSA)値の有意な低下が見られただけでなく、他のマーカー値および肝機能検査値も改善されていました。患者によってはPSAが30%低下していました。これはプラセボ比較試験ではなかったため、上記の治療による結果であるかは不明ですが、きわめて示唆に富んでいます。上記のEGCGの用量は、濃く淹れた緑茶の約12杯分に相当します。


緑茶と肺ガンとの関係

緑茶には、他のガン細胞の増殖抑制との関連も見られています。(肺ガンの種類として最も多く見られる)「非小細胞」肺ガン細胞の実験室研究で、ペトリ皿ならびに腫瘍移植モデルマウスにて、細胞のEGCGに暴露試験を行いました。(Milligan SA, et al., The green tea polyphenol EGCG potentiates the antiproliferative activity of c-Met and epidermal growth factor receptor inhibitors in non-small cell lung cancer cells. Clin Cancer Res. 2009 Aug 1;15(15):4885-94.)
この研究では、EGCG暴露により、ガン細胞の増殖とコロニー形成が抑制されました。また、腫瘍増殖因子に関与している酵素の活性も低下しました。EGCGは、通常使われている治療薬(エルロチニブ)に耐性がある細胞にも効きました。EGCGとエルロチニブを組み合わせた場合のほうが、エルロチニブだけの場合よりも効果が高くなっていました。
移植モデルマウスにおいては、EGCGとエルロチニブを組み合わせた場合のほうが、エルロチニブだけの場合より効果が高く、移植片の増殖速度が低下していました。このことからも、緑茶や緑茶エキスを摂る価値があることがわかります。


緑茶による白血病の治療効果

今月ご紹介する緑茶エキス関連の研究の3つめは、緑茶エキスが慢性リンパ球性白血病の治療に役立つというものです。これは、小児期や若年期に現れる一般的な白血病とは異なり、中年期以降に現れることのほうが多い骨髄の悪性腫瘍です。B細胞と呼ばれるリンパ球が骨髄と血液に蓄積するものであり、リンパ節、脾臓および肝臓の肥大を伴います。この病気は進行速度が遅いことが多いため、長期生存が多く見られます。
この研究では、33人の適格患者に、400 mgから2,000 mgに及ぶ8種類のいずれかの用量のEGCGを1日2回与えました。(Shanafelt TD, et al., Phase I trial of daily oral Polyphenon E in patients with asymptomatic Rai stage 0 to II chronic lymphocytic leukemia. J Clin Oncol. 2009 Aug 10;27(23):3808-14.) この治療により、被験者の1名に部分寛解が見られたのですが、効果はそれだけではありませんでした。
11人の患者(33%)において、リンパ球絶対数に20%の低下が見られました。また、リンパ節肥大があった患者12人のうち、11人において、リンパ節の生成物数と肥大が50%減少していました。こうした効果はすべて、EGCGによる治療開始後1カ月以内に観察されました。この治療法に対する耐容性はきわめて高く、最大用量を施した場合でも有意な副作用は生じませんでした。副作用として見られた症状(吐き気および腹痛)は軽く、この療法の中止を要するものではありませんでした。
緑茶を毎日大量に飲みたくない人は、緑茶エキスをカプセルの形で摂ることができます。標準エキスのカプセルには、ポリフェノールが98%含まれ、そのうち50%はEGCGです。よって、500 mgのカプセルの場合、1個当たり約250 mgのEGCGが含まれることになるので、1日に4カプセルを摂ると、上記の白血病関連の研究にて投与された最低用量に達します。この量は、上記の前立腺ガンに関する研究にて投与された用量を上回ることになります。


動物性脂肪による膵臓ガンの増加

525,473人の男女を対象とした前向き調査にて、研究グループが食品摂取頻度アンケートを用いて食事摂取内容を分析し、その結果と、平均6.3年間の追跡期間における膵臓ガンのリスクとの関連付けを行いました。様々な種類の食事性脂肪の摂取量について被験者の評価を行い、また、他のガンの種々のリスク因子についても、変数として排除するため、評価されました。(Thiébaut AC, et al., Dietary fatty acids and pancreatic cancer in the NIH-AARP diet and health study. J Natl Cancer Inst. 2009 Jul 15;101(14):1001-11.)
様々な変数の調整を行った上で、総脂肪酸摂取量が最も多かったグループでは、総脂肪酸摂取量が最も少なかったグループと比較して、膵臓ガンのリスクが23%高くなっていました。飽和脂肪酸の摂取量が最も多かったグループでは、飽和脂肪酸の摂取量が最も少なかったグループと比較して、36%のリスク増加が見られました。最も強い関連が見られたのは、動物由来、とくに赤肉と乳製品からの飽和脂肪酸摂取量が最も多かったグループでした。その摂取量が最も多かったグループは、摂取量が最も少なかったグループと比較して、リスクが43%高くなっていました。
全体的に見て、膵臓ガンのリスク増加はすべて、動物脂肪の摂取に関連しているようです。多価不飽和脂肪酸の摂取とリスク増加には、関連が見られませんでした。動物以外の飽和脂肪酸摂取源には、ココナッツ油、パーム油、ココアバターなどがあります。これらが膵臓ガンに関係していないことは明らかであり、ココナッツ油とパーム油については、心疾患との関係がないことがいくつかの研究でわかっています。


γ-リノレン酸によるアトピー性皮膚炎への効果

アトピー性皮膚炎がある被験者50人を対象とした、小規模ながら無作為プラセボ対照試験にて、月見草オイル由来のγ-リノレン酸により症状の軽減が見られました。この結果は、アトピー性皮膚炎の範囲、症状の強さ、かゆみ、乾燥度という4つのパラメータについて予め設定した採点法にもとづくものです。試験の開始時、および5カ月間の治療後に、被験者の評価が行われました。(Senapati S, et al., Evening primrose oil is effective in atopic dermatitis: a randomized placebo-controlled trial. Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2008 Sep-Oct;74(5):447-52.)
試験終了の時点で、プラセボグループでは8人にしか改善が見られませんでしたが、γ-リノレン酸を与えた被験者25人のうち24人に改善が見られました。数年前、いくつかの研究にて、γ-リノレン酸によるアトピー性皮膚炎への効果が示されましたが、その後の研究は曖昧なものでした。今回の研究は、最初の報告内容を裏付けるものですが、小規模な試験のため、さらに試験を行って確認する必要があります。
γ-リノレン酸ならびにオメガ6系脂肪酸は、月見草オイルからしか摂れないものではなく、ブラックカラントシードオイルやボラージシードオイルにも含まれています。ボラージ(ルリヂサ)は、新鮮な野菜または乾燥ハーブとして使われていますが(使用が最も多いのは欧州です)、現在では、γ-リノレン酸を含むオイルの摂取源として使われることが最も多くなっています。ボラージには、この脂肪酸(γ-リノレン酸)が最も豊富に含まれているのです。γ-リノレン酸の通常用量は、1日当たり240 mgで、ボラージオイルのカプセルなら1個、ブラックカラントオイルのカプセルなら3個、月見草オイルのカプセルなら6個に相当します。


軽負荷な運動による死亡率の低下

運動は、加齢による死亡率の低下に重要な役割を果たします。最近のある研究報告によると、とにかく運動することが役立つようです。この研究では、1986年から2006年にわたり、運動負荷試験(トレッドミル試験)を受けるよう差し向けられた被験者4,384人の追跡を行いました。平均追跡期間は8.7年でした。(Mandic S, et al., Characterizing differences in mortality at the low end of the fitness spectrum. Med Sci Sports Exerc. 2009 Aug;41(8):1573-9.)
この研究では被験者を、運動耐性と身体活動度が最も低いものから最も高いものまで5つのグループ(Q1~Q5の五分位)に分けました。最下分位(Q1)のグループでは、そのすぐ上のグループ(Q2)と比較して、死亡率が2倍になっていました。これは、たとえ少量の運動でも、健康上のリスクに大きな違いをもたらすことを示しています。運動から有意な効果を得るためには、マラソンランナーやプロスポーツ選手になる必要はないのです。(とはいえ、運動するほど、多くの効果が得られます。)
こうした結論の根拠となったのは、加齢による死亡率を最上分位(運動量が最多)のグループ(Q5)と比較した場合に、Q2のグループは2倍であったのに対し、最下分位グループ(Q1)は4倍になっていたことです。ちょっと運動するのも良いが、たくさん運動するほうがもっと良い、というのが私の結論です。
上記の研究結果から、ある程度の運動しかしていない人は運動量が最も多い人と比べて死亡率が2倍である、という内容の見出しを付けることもできたでしょう。こうすれば、運動の満足度が低くなって、さらに運動をする励みになります。
運動量が多いほど多くの効果が得られることは他の研究でも示されていますが、テレビのリモコンをいじって寝そべっているだけよりは、とにかく何でも動いたほうが良いのです。




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