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2015年07月24日

ドクターからの『毎日健康ニュース』2015年7&8月号

ヘルシーリビング


*ドクター・ジャンスンが米国において執筆しているニュースレターを翻訳したものです。日米の食文化、栄養療法あるいは規制の違いにより、日本では入手が不可能な商品についても、原文に忠実に翻訳しておりますことをあらかじめご了承ください。
*また当社はヘルシーリビングにおいて特定商品の医学的な効果効能を説明したり、批判したりする立場にはございません。
尚、ヘルシーリビングに書かれているハーブ、ビタミン類を、ご自身で摂取される場合は、個々の商品の注意書きに従って下さい。


2015年7&8月号葉酸は脳卒中のリスクを下げる

今月の話題
葉酸は脳卒中のリスクを下げる
L-カルニチンは心臓発作後のCRP値を下げる
リコピンは腎臓ガンのリスクを下げる
高齢者による運動が死亡リスクを下げる
オメガ3系脂肪酸が心臓発作後にもたらす効果




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葉酸は脳卒中のリスクを下げる

ビタミンである葉酸は、妊娠中に摂ると出生異常を防ぐことは昔から知られており、ほとんどどんな用量でも、何のリスクももたらしません。ただ、大量に摂ると、ビタミンB12が欠乏した状態であってもそれが隠れてしまうおそれがあります(こうした欠乏症を引き起こすのではありません)。そのため、葉酸の高用量摂取をする場合には、血清ビタミンB12値が十分であることを確認することが重要です。最も一般的な用量(1日当たり1,000 μg未満)であれば、ビタミンB12の欠乏が隠れることはありません。葉酸にはこの他にも、循環器疾患と脳卒中に対する効果があることが、新しい研究で示されています。

中国で行われたその研究は、高血圧症の成人20,702人を含めたもので、この被験者は、試験開始の時点で、脳卒中と心臓発作の病歴はありませんでした。この試験は、「中国脳卒中一次予防試験(CSPPT)」と呼ばれる無作為化二重盲検臨床試験であり、その被験者全員に、高血圧治療のためのACE阻害薬であるエナラプリル(商号:バソテック)が与えられました。これに加え、被験者の半数に毎日800 μgの葉酸、残りの半数にプラセボが与えられました。そして、平均4.5年にわたり被験者の追跡を行いました。

試験の終了時に、研究グループは、この期間中に脳卒中(虚血性脳卒中と出血性脳卒中を含む)を初めて生じた被験者の数を調べました。また、心臓発作の件数、心血管系死亡の件数、総死亡率にも注目しました。(Huo Y, et al., Efficacy of folic acid therapy in primary prevention of stroke among adults with hypertension in China: the CSPPT randomized clinical trial. JAMA. 2015 Apr 7;313(13):1325-35.)

エナラプリルのみを与えたグループと比較して、プラセボではなく葉酸をエナラプリルと併せて摂っていたグループでは、初回脳卒中を生じるリスクが21%低く、初回虚血性脳卒中を生じるリスクは24%低くなっていました。また、心血管系死亡、心筋梗塞、脳卒中から成る心血管系複合事象のリスクが20%低くなっていました。出血性脳卒中のリスクと総死亡率についても減少傾向は見られたものの、その減少率は統計的に有意な域には達していませんでした。また、この組合せで摂っていたグループでは、エナラプリル+プラセボのグループと比較して、副作用の増加は見られませんでした。

実践的ガイドライン

葉酸は、その名が示すとおり、茎葉、つまり葉物野菜に含まれています。一般的にマルチビタミン剤で400 μgの量を摂ることができますが、800 μgの葉酸を含んでいるマルチビタミン剤もあります。葉酸は、細胞の複製と増殖、ならびにDNAとRNAの生成に不可欠です。また、循環器疾患との関連が見られている代謝物であるホモシステインの低減に役立ちます。処方箋がなくても5,000 μgもの高用量の葉酸を入手することができ、そうした高用量摂取は、それ以下の場合より、ホモシステインを低下させる効果が高くなります。実際にそうした高用量摂取をする場合は、ビタミンB12値を調べてもらうのが良策です。その他の点では、葉酸の高用量摂取によるリスクはありません。


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L-カルニチンは心臓発作後のCRP値を下げる

炎症は、冠動脈疾患の発症に対する危険因子の一つです。炎症マーカーには、血清中のC反応性タンパク(CRP)値、インターロイキン-6(IL-6)値、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)値などがあります。こうしたマーカー値が高いと、冠動脈疾患の発症率が高くなるという関連が見られています。L-カルニチンは、アミノ酸誘導体の1つであり、サプリメントとして摂取すると冠動脈疾患に効果があることがわかっています。L-カルニチンは体内で生理的に生成されますが、その生成量は加齢に伴い減少します。ある新しい研究では、L-カルニチンのサプリメントがいかに役立ち得るか示されています。

この研究は、心臓カテーテル検査により、少なくとも1つの主冠動脈に50%の閉塞が見られた冠動脈疾患患者47人を特定し、プラセボを与えるグループ、もしくは1日当たり1,000 mgのL-カルニチンを含むサプリメントを与えるグループのいずれかに無作為に割り当て、12週間追跡したものです。試験を開始したグループのうち、全12週間を終えた被験者は39人でした。(Lee BJ, et al., Anti-inflammatory effects of L-carnitine supplementation (1000 mg/d) in coronary artery disease patients. Nutrition. 2015 Mar;31(3):475-9.)

プラセボグループと比較して、L-カルニチンのサプリメントを与えたグループでは、血清中のCRP値、IL-6値およびTNF-α値に有意な低下が見られました。これは、L-カルニチンが心疾患の予防に重要な役割を果たすことを示唆しています。上記は、L-カルニチンの補給量としては比較的少ないものでした。私が2月号(英語版1月号)でご紹介した別の研究によると、心臓発作の患者に対し、2,000 mgのL-カルニチンを含むサプリメントを毎日与えた結果、狭心症、心筋の壊死、心疾患、心室拡大ならびに不整脈の発生率が低くなっていました。

実践的ガイドライン

L-カルニチンのサプリメントはきわめて安全で、心疾患リスクの低下に役立ちます。私はいつも、1日当たり2,000 mg摂っています。自分に必要な分を体内で生成することができる若者なら、サプリメントで摂るほど重要ではないかもしれませんが、たとえ若者の場合でも、十分に生成されないことがあります。

L-カルニチンは、コエンザイムQ10と一緒に摂ると、うまく機能します。どちらもミトコンドリア内でのエネルギー産生に重要なためです。L-カルニチンは、ミトコンドリア膜を越えて遊離脂肪酸をミトコンドリア内に運びます。ミトコンドリアの中では、コエンザイムQ10を補因子として、この脂肪酸が代謝されてエネルギーが生産されます。遺伝的な障害によってL-カルニチンの生成量が少なくなる場合もあるし、抗けいれん薬や腎臓透析によってカルニチン値が低下することもあります。1日に20,000 mgもの量を投与しても副作用は見られていませんが、場合によっては、高用量摂取により消化器の不調が生じる可能性があります。


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リコピンは腎臓ガンのリスクを下げる

リコピンは、カロテノイドという栄養素の一種(β-カロテンやルテインの親戚)であり、色素として、赤い果物や野菜のいくつか(すべてではない)に含まれています。リコピンには、前立腺をガン(とくに侵襲性の高いガン)から守る効果や、皮膚を日焼けの損傷から守る効果、および骨密度を改善する効果があることがわかっています。また、抗酸化物質として、LDL-コレステロールの酸化防止に役立ち、また、加齢性黄斑変性症のリスクを下げます。

リコピンには腎臓ガン(腎細胞ガン)の発症リスクを下げる効果もあることが、新しい研究でわかっています。この研究は、ウィメンズ・ヘルス・イニシアティブ(WHI)に登録していた閉経後の女性96,196人について1993年から1998年の間に調べ、2013年まで追跡したものです。研究グループは、食品摂取頻度調査票を用いて、被験者による食事性微量栄養素の摂取量を調べ、また、面接に基づく調査記録を用いて、サプリメントの使用状況を調べました。

調査期間の終了までに、腎細胞ガンがあると認められた被験者は240人でした。リコピンの摂取量が最も多かったグループでは、その摂取量が最も少なかったグループと比較して、腎細胞ガンの発症リスクが39%低くなっていました。この研究では他の微量栄養素についても調べましたが、腎細胞ガンのリスクに統計的に有意な低下をもたらしたものは、他にはありませんでした。(Ho WJ, et al., Antioxidant micronutrients and the risk of renal cell carcinoma in the Women's Health Initiative cohort. Cancer. 2015 Feb 15;121(4):580-8.)

実践的ガイドライン

リコピンは、トマトに豊富に含まれていますが、生のトマトより、トマトソースやトマトペーストのほうが高濃度で含まれています(ソースやペーストを作るときに水分を飛ばすため、栄養素が凝縮されるとともに、リコピンが細胞壁から放出されます)。スイカとレッドネーブルオレンジには、生のトマトよりさらに多くのリコピンが含まれています(ただし、ブラッドオレンジは、深い赤色でもアントシアニン系の色素によるもののため、これには当てはまりません)。

リコピンは、サプリメントとして入手することもでき、リコピンを食事から多く摂っていない人は、サプリメントを摂る価値があります。リコピンには、皮膚を紫外線から守る効果があるため、日焼けの損傷による見た目の老化防止に役立つ可能性があります。サプリメントの一般的な用量は1日当たり10~15 mgです。


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高齢者による運動が死亡リスクを下げる

定期的に運動することが健康維持における重要な要素であることは、きわめて明白です。そうではないことを示唆している報告もいくつかありますが、そうした報告は、他のほとんどの研究によって支持されていません。座りがちな生活をしていると、筋力と骨密度が低下し、また、様々な慢性退行性疾患のリスクが高まります。高齢男性を調べた新しい研究では、運動量を増やすと多大な効果が得られることがわかっています。

この研究は、ノルウェーの研究グループが、1923年~1932年生まれの男性5,738人について、2000年から12年間追跡して調べたものです(つまり、被験者はこの調査の開始時に68歳~77歳であったことになります)。この追跡期間中に、2,154人の被験者が死亡しました。研究グループは、被験者が行っていた運動の量を分析して、死亡リスクと関連付けました。活動は、軽い運動から激しい運動まで多岐にわたっていたため、研究グループは、被験者が運動に費やしていた1週当たりの時間量を分析しました。また、相対的な死亡リスクと、喫煙に関連した死亡リスクとの比較も行いました。

その結果、1日30分の運動を週6日行うと死亡リスクが40%低くなるという関係が見られました。これは、座りがちな生活をしているグループを、中程度~激しい運動をしているグループと比較した場合に、寿命が5年増えることに相当します。運動不足は、あらゆる原因による死亡の危険因子として、喫煙とほとんど同程度の予測力があり、運動量を増やすことは、禁煙するのと同じくらい、死亡率を下げる効果があることがわかりました。(Holme I, Anderssen SA, Increase in physical activity is as important as smoking cessation for reduction in total mortality in elderly men: 12 years of follow-up of the Oslo II study. Br J Sports Med 2015;49:743-748.)

実践的ガイドライン

この研究グループによると、たとえ73歳でも、身体活動度と死亡リスクの減少には強い関連が見られたということです。早歩きやジョギング、スポーツ活動、きつい庭仕事、ハードなトレーニングなどを週に4時間程度行うと、心疾患やあらゆる原因による死亡リスクの低下に役立つということは、すでにかなり明白であるはずです。

このような研究は、因果関係を示すものではなく、関連性を示したものにすぎません。なぜなら、最も運動量が少ないとされた被験者は、すでに病気であったためそうした生活を送っていた可能性もあるからです。しかし、何歳からでも運動プログラムを始めることは良策であり、それに伴うリスクはほとんどなく、多大な効果が得られる可能性があるのです。私は、週に数回ジムに通っており、最近では、ウォーキング、庭仕事、水泳に加え、家でもゴムバンドやゴムチューブを使った運動を始めました。


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オメガ3系脂肪酸が心臓発作後にもたらす効果

オメガ3系脂肪酸は、亜麻の実やクルミなど、いくつかの植物性食品に含まれており、大豆(豆腐を含む)、芽キャベツ、カリフラワーにも少量含まれています。植物に含まれているオメガ3系脂肪酸とはα-リノレン酸(ALA)であり、これは体内でエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)という生理的に有効な形に変換されます。人によってはALAをEPAとDHAにうまく変換することができず、こうした変換障害は、とくに加齢や疾患との関係が見られています。EPAとDHAを直接摂ることができる食品としてまず挙げられるのは、イワシ、サケ、サバ、ニシンなど、脂肪の多い魚です。また、サプリメントの形で摂ることもできます。EPAとDHAには抗炎症作用があります。

3月に米国心臓病学会からのニュースリリースで報告された研究で、オメガ3系脂肪酸のサプリメント摂取が心臓発作の経験者にもたらす効果を示したものがあります。そのデータは、サンディエゴでの学会で発表されました。この研究は、心臓発作(梗塞)から回復した患者374人を無作為に抽出し、標準的な治療の他に、被験者の半数に毎日4 gのオメガ3系脂肪酸を与え、残りの半数にプラセボを与えたものです。被験者のマッチングでは、梗塞の箇所および年齢を合わせました。被験者の分析には血液検査と心臓画像診断が用いられ、心臓発作の2~4週間後に1回、6か月後に再度実施されました。

この研究では、心臓の核磁気共鳴画像法(MRI)を用いることにより、患者の心臓における変化を見ることができました。こうした高用量のオメガ3系脂肪酸を摂っていたグループ(治療グループ)では、プラセボグループと比較して、心機能の低下が見られる可能性が39%低くなっていました。治療グループでは、炎症マーカーに大幅な低下が見られ、また、心筋の瘢痕化にも有意な減少が見られました。こうした高用量のオメガ3系脂肪酸摂取に伴う副作用は、何も見られませんでした。(ACC News Release, March 4, 2015. Omega-3 fatty acids appear to protect damaged heart after heart attack. Study suggests this therapy may provide added benefits to standard care. 詳細は下記リンクを参照: http://drjanson.us5.list-manage.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=4f81db7c2f&e=fa991dc683)

実践的ガイドライン

私はほとんどベジタリアンの食事をしていますが、時々は天然のサケやイワシなど、EPAとDHAを含む魚を食べます(アラスカではサケの養殖は認められていないので、アラスカ産のサケはすべて天然物です)。また、亜麻仁油や亜麻の実、クルミを摂ることにより、α-リノレン酸もいくらか摂るようにしています。上記の研究で用いられた処方では、EPAとDHAが合わせて840 mg含まれていましたが、処方箋なしで買える魚油由来のEPA・DHA濃縮物には、EPAとDHAが合わせて最大600 mg含まれていることがあり、費用もかなり安く済みます。


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