Dr.ジャンスンからのニュースレター › ヘルシーリビング › ドクターからの『毎日健康ニュース』2014年1月号

2014年04月10日

ドクターからの『毎日健康ニュース』2014年1月号

ヘルシーリビング


*ドクター・ジャンスンが米国において執筆しているニュースレターを翻訳したものです。日米の食文化、栄養療法あるいは規制の違いにより、日本では入手が不可能な商品についても、原文に忠実に翻訳しておりますことをあらかじめご了承ください。
*また当社はヘルシーリビングにおいて特定商品の医学的な効果効能を説明したり、批判したりする立場にはございません。
尚、ヘルシーリビングに書かれているハーブ、ビタミン類を、ご自身で摂取される場合は、個々の商品の注意書きに従って下さい。


2013年12月号サプリメントは安全で有効か

今月の話題:
・サプリメントは安全で有効か
・乳ガン死亡率および男性の全ガンリスクに対するマルチビタミン剤の効果
・有意な結果が得られないよう意図された研究
・食事の改善によって高齢者の生活の質が向上



サプリメントは安全で有効か

サプリメントには病気を防ぐ効果も治す効果もなく、実際にはリスクを高める可能性がある、と主張している記事や論文が最近、ニュースや一部の医学雑誌で相次いでいます。こうした結論を正当化する医学文献の重みは大きなものではありません。オーソモレキュラー医学ニュースサービスの同僚たちは、こうした記事や論文に反応しています。私は、彼らの許可を得て、他の情報源へのリンクと併せ、同僚の意見をここに転載します。

Mark McCartyによる論評

(OMNS、2013年12月21日) 「サプリメントは効かないことを証明した」最近のある研究が大いに吹聴されているが、その試験では、低用量マルチビタミン剤「セントラム・シルバー・アダルト50+」が用いられた。応用栄養学の模範のようなこの製品について、メーカーは下記のホームページで紹介している:http://drjanson.us5.list-manage.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=a88d6d5d89&e=fa991dc683。しかし、その製品に何が含まれているか実際に詳細を見るためには、パッケージのイラストのすぐ下にある「PRODUCT LABELING」という小さい表示のリンクをクリックし、いちばん下までスクロールして、「Ingredients(原料)」欄にある小さな文字を読まなければならない。

しかし、それだけ苦労する価値はある。3種類の人工着色料だけでなく、保護作用がある以下のような栄養素が、途方もなく大量に(もはや皮肉な表現)含まれていることに注意してほしい。

ビタミンD - 500 IU (引っ込みがつかないことをしようと思って、最低推奨量より100 IUも多く入れたのに違いない!)

ビタミンE - 50 IU (すべて、最先端の合成酢酸dl-α-トコフェロールで供給)

マグネシウム - 50 mg (何と、1日推奨摂取量の8分の1が大変溶けやすい酸化物の形で入っている!)

亜鉛 - 11 mg (メタロチオネインを誘導することにより「危険な抗酸化活性」をもたらすことがわかっている高値範囲を十分に下回っているというのは如才ない。[1])

カルシウム - 220 mg (4.4:1というカルシウム:マグネシウム比に注目。あまりにも高い。これは嫌味ではない。)

ルテイン - 250 μg (黄斑変性は今では過去のものである!)

確かに、この強力な栄養剤でも認知症を予防できないということは、サプリメントはすべて本質的に無益であるという意味にしか取られないかもしれない。

確かに、このサプリメントはかつて、ガンの発生率が8%低くなるという結果をもたらした (http://drjanson.us5.list-manage1.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=0cc36735c9&e=fa991dc683)。しかし、そんな昔のことを誰が覚えているだろうか。

基本的な食生活がエンプティ―カロリーの製品で溢れている、精神的に問題のある人が多いので、そういう人にとっては、たとえ控えめな用量の微量栄養素でも、何らかの効果があるかもしれない、と考えるのは当然である。よって、有効性を実証できる最大のチャンスをサプリメントに与えるため、この研究グループは、栄養が欠乏している可能性が最も高い被験者集団、つまり米国の医師たちを選んだのである!

こうして、無意味なサプリメントをすべて体の外に出してしまったのなら、かかりつけの医師のところへ行って、認知症を予防することが証明されているたくさんの薬の処方箋を書いてもらえば良いのである(そうした薬はないのだが)。

それにしてもビタミン剤について、絶えず油断のないマスコミがまたしても我々の考えを正してくれて良かった! 彼らがいなければ我々は何をしたら良いのだろうか?

(Mark McCartyは栄養学者で、非営利組織Catalytic Longevityの研究ディレクターである。また、NutriGuard Researchの代表でもあり、いくつかの診療所のコンサルタントも務めている。)

注:
1. 亜鉛については、AREDS1という研究による以下の結果をご存じだろうか:http://drjanson.us5.list-manage1.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=4336f8659c&e=fa991dc683。1日80 mgの亜鉛を摂っていたグループで全死亡率が27%低くなっていたという調査結果は、かなり大規模な比較試験で得られた強固な結果であるにもかかわらず、ほとんど無視されている。おそらく、それを理解している人がほとんどいないからだろう。これは、メタロチオネイン誘導という保護作用を示している可能性が高い。メタロチオネイン誘導は、食事による通常の亜鉛摂取範囲を上回る用量依存性がある(また、控えめな亜鉛摂取とともに最小限の重要性があると思われる)。メタロチオネインの重要な標的であるカドミウムは、産業暴露のない人々においても、多数のリスクの主要媒介物となることが明らかになってきている。http://drjanson.us5.list-manage1.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=7655678006&e=fa991dc683 以下のサイトで公開: http://drjanson.us5.list-manage.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=83dff764bf&e=fa991dc683

参考文献:
Are Antioxidants Bad for Us? A Response to Dr. Paul Offit (抗酸化剤は体に悪いのか? Dr. Paul Offitに対する返答)
http://drjanson.us5.list-manage.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=26fad16b68&e=fa991dc683

Excellent analysis of the flawed research used to attack multivitamin supplements(マルチビタミンサプリメントへの攻撃に用いられた欠陥研究に対する優れた分析):
http://drjanson.us5.list-manage1.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=f863eff628&e=fa991dc683

Gossard B, Schmid K, Huber L, Joyal SV. Flawed research used to attack multivitamin supplements.(マルチビタミンサプリメントへの攻撃に用いられた欠陥研究) http://drjanson.us5.list-manage1.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=8590760545&e=fa991dc683

ビタミン・バッシングに対するその他のユーモラスな論評:
Multivitamins dangerous? Latest leak from the World Headquarters of Pharmaceutical Politicians, Educators and Reporters (マルチビタミン剤は危険か? 医薬関係政治家・教育者・記者世界本部による最新リーク): http://drjanson.us5.list-manage.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=c19fa53a1d&e=fa991dc683
How to destroy confidence in vitamins when you do not have the facts (事実がないのにビタミン剤への信頼を損なう方法): http://drjanson.us5.list-manage1.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=5cf60e8539&e=fa991dc683
Confidential Memorandum from the World Headquarters of Pharmaceutical Politicians, Educators and Reporters (医薬関係政治家・教育者・記者世界本部による極秘メモ): 下記サイトの下部に掲載 http://drjanson.us5.list-manage1.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=a4872d5859&e=fa991dc683

栄養医学は、オーソモレキュラー医学である。オーソモレキュラー医学では、安全で有効な栄養療法を用いて病気に対処する。詳しくは下記サイトを参照。
http://drjanson.us5.list-manage.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=9ff237ed9c&e=fa991dc683


オーソモレキュラー医学の専門医を見つける場合は:
http://drjanson.us5.list-manage.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=ce90a06dee&e=fa991dc683
査読済のオーソモレキュラー医学ニュースサービスは、非営利・非商業的情報源である。

編集審査委員:
Ian Brighthope, M.D.(オーストラリア)、Ralph K. Campbell, M.D.(米国)、Carolyn Dean, M.D., N.D.(米国)、Damien Downing, M.D.(英国)、Dean Elledge, D.D.S., M.S.(米国)、Michael Ellis, M.D.(オーストラリア)、Martin P. Gallagher, M.D., D.C.(米国)、Michael Gonzalez, D.Sc., Ph.D.(プエルトリコ)、William B. Grant, Ph.D.(米国)、Steve Hickey, Ph.D.(英国)、Michael Janson, M.D.(米国)、Robert E. Jenkins, D.C.(米国)、 Bo H. Jonsson, M.D., Ph.D.(スウェーデン)、Peter H. Lauda, M.D.(オーストリア)、Thomas Levy, M.D., J.D.(米国)、Stuart Lindsey, Pharm.D.(米国)、Jorge R. Miranda-Massari, Pharm.D.(プエルトリコ)、Karin Munsterhjelm-Ahumada, M.D.(フィンランド)、Erik Paterson, M.D.(カナダ)、W. Todd Penberthy, Ph.D.(米国)、Gert E. Schuitemaker, Ph.D.(オランダ)、Robert G. Smith, Ph.D.(米国)、Jagan Nathan Vamanan, M.D.(インド)、柳澤厚生 M.D., Ph.D.(日本)
Andrew W. Saul, Ph.D.(米国): 編集長兼窓口
Eメール: omns@orthomolecular.org
このアドレスは、コメント用のみである。OMNSから読者の個々のEメールに返信することはできないが、読者には、自分の観点から書いていただいて構わない。読者のコメントは、OMNSの財産となり、公表することもあれば、しないこともある。

無料購読するには:http://drjanson.us5.list-manage1.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=5964824e6a&e=fa991dc683

この記事の無料転載は、以下を条件として許可される: 1) オーソモレキュラー医学ニュースサービス(OMNS)に帰属するものであることが明示されていて、かつ、2) OMNSの無料購読リンクhttp://drjanson.us5.list-manage2.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=1cb05de609&e=fa991dc683ならびにOMNSのアーカイブリンクhttp://drjanson.us5.list-manage.com/track/click?u=7e82fc89c6b5c0826ec92641d&id=eac42b3527&e=fa991dc683の両方が含まれていること。

Orthomolecular.org | 3100 N. Hillside Ave | Wichita, KS 67219 | USA




乳ガン死亡率および男性の全ガンリスクに対するマルチビタミン剤の効果

マルチビタミン剤は無益、またはそれより悪いものであり、米国人(だけでなく世界各国の人々)はお金の無駄使いをしている、というのが上記の各レポートによる結論のようです。重ねて言いますが、こうしたことは立証されていません。たとえば、乳ガン患者には、マルチビタミン・ミネラル(MVM)サプリメントによる大きな効果が見られています。ウィメンズ・ヘルス・イニシアティブ(閉経後の女性を対象とした米国国立保健研究所による大規模な臨床試験)の一部において、50~79歳の閉経後の女性7,728人が浸潤性乳ガンの診断を受けました。この患者を7.1年間追跡し、結果の評価を行って乳ガン死亡率が調べられました。
(Wassertheil-Smoller S, et al., Multivitamin and mineral use and breast cancer mortality in older women with invasive breast cancer in the Women's Health Initiative. Breast Cancer Res Treat. 2013 Oct;141(3):495-505. doi: 10.1007/s10549-013-2712-x. Epub 2013 Oct 9.)

追跡期間の終了時点で、乳ガンによる死亡は518件ありました。MVMを使用していると回答したグループでは、使用していなかったグループより、死亡率が30%低くなっていました。この研究グループによると、この結果は非常に強い(研究者の専門用語によれば「高度に強固な」)もので、多数の潜在的な交絡変数の調整後も変わりませんでした。

1997年から2011年にかけて行われた別の調査では、14,641の男性に、プラセボのパック、もしくは比較的低品質なセントラム・シルバー(上記の最初のレポートにあるものと同じもの)が与えられました。このMVMを摂っていたグループでは、調査期間の終了時点で、ガンのリスクが8%低くなっていました。(Gaziano JM, Multivitamins in the prevention of cancer in men: the Physicians' Health Study II randomized controlled trial. JAMA. 2012 Nov 14;308(18):1871-80.)

この調査では、死亡率にも12%の低下が見られ、これは統計的に有意な域に達しているとは言えませんが、調査の開始時点でガン歴があったグループでは、ガンの全リスクが27%低くなっていました。




有意な結果が得られないよう意図された研究

有意な結果を示すことができないように研究をデザインするのは簡単です。研究対象の製品の使用量を少なくしたり、有意性を示すには少なすぎる被験者を対象とすれば良いのです。もし効果が見つかっても、満たすことができないほど厳しい成功基準を設ければ良いのです(たとえば、「完全な治癒」という目標を設定すれば、治癒に達していないいかなる症状軽減も無視することができます)。このように、少しでもバイアスがあれば、それが意識的なものか否かにかかわらず、自分の仮説を裏付けるように、またはその反証をするように、研究を本質的にデザインすることができるのです。




食事の改善によって高齢者の生活の質が向上

平均以上の食習慣を守っている高齢者のほうが、健康状態も生活の質も優れています。こうした結果にはほとんど驚きませんが、研究のバックアップがあるに越したことはありません。オーストラリアのシドニーで、1,305人の被験者を5年間、895人の被験者を10年間追跡した研究が行われました。この研究では、生活の質を評価する36項目のショートフォーム調査票(スコアが高いほど生活の質が高いことを示すもの)を用いて、被験者の評価を行いました。(Gopinath B, et al., Adherence to dietary guidelines positively affects quality of life and functional status of older adults. J Acad Nutr Diet. 2013 Nov 14. pii: S2212-2672(13)01409-3. doi: 10.1016/j.jand.2013.09.001. [印刷に先行した電子出版])

被験者は、オーストラリアの健康的食事ガイドの順守状態に応じて4等分され、食事の質が最も高いグループから最も低いグループまでのいずれかに振り分けられました。合計食事スコアが上位4分の1にあるグループでは、毎日の生活活動に障害が生じるリスクが50%低くなっていました。この機能的能力には、食事とウォーキング、買い物と家事、階段の昇降、車の乗降、平らでない地面を歩くこと、および入浴などの活動が含まれます。

実践的ガイドライン

年齢を重ねても、健康的な食事はずっと重要です。長期介護施設にいたり、支援を受けて生活している場合、これは重要な情報です。こうした施設のほとんでは、提供されている食事が理想からほど遠く、入居者は最初に大きな問題を抱えることになります。入居者はそれほど資源を枯渇させるわけではないため、食事の改善というのは、費用効率の高い方法となります。入居者が入居料を支払い続ける期間が長くなります。気分が前より良くなり、もっと自分の世話ができるようになるという副次的な効果があることは言うまでもありません。


同じカテゴリー(ヘルシーリビング)の記事
 ドクターからの『毎日健康ニュース』2016年6月号 (2016-06-08 19:15)
 ドクターからの『毎日健康ニュース』2016年5月号 (2016-06-08 18:45)
 ドクターからの『毎日健康ニュース』2016年3&4月号 (2016-04-13 14:22)
 ドクターからの『毎日健康ニュース』2016年2月号 (2016-03-09 17:11)
 ドクターからの『毎日健康ニュース』2015年11&12月号 (2015-12-11 18:51)
 ドクターからの『毎日健康ニュース』2015年9&10月号 (2015-11-10 15:22)